気に入らないとすぐ噛み付く

 五歳の男の子です。友だちと遊んでいて、自分の気にいらないことがあると、友だちの手でもどこでも噛み付く癖があり困っています。先日も、近所の友だちのお母さんから強い小言をいわれたばかりで、どうしたものか悩んでいます。叱っても、なかなか効果がありません。直す方法はどうすればよいのでしょうか。
 二歳から三歳にかけての子どもは、よく噛み付くことがあります。それはこの年令がまだ自己中心的であり、気にいらないことがあるとすぐかんしやくを爆発させるのです。
 欲しい物がすぐ手に入らない時、自分の玩具を人に取られた時など、自分の領域に他の人の力が一方的に入り込んでくるととっさにどう対応し、どう問題を解決してよいのかわからず、噛み付くという強硬手段にでるのです。
 二、三歳はまだ世の中は自分の思いどおりばかりにはならないという事実を知りません。自分の生活が母親の手によって常に快適に保たれていた乳児期の延長であり、生理的欲求のおもむくままに暮しています。お腹がすけば食物が与えられ、おむつが取りかえられ、自分の生活を脅かすものがあることなど考えもつかないことでしょう。ですから、二歳、三歳になって親から自立し、少しずつ自分の力で世の中に立ち向った時、びっくりすることの連続です。まだ自力では何もできませんけれど、やってみようという好奇心は旺盛です。
 しかし、自力で問題を解決していくことは大困難であり、いらだつことも多くあります。この時期に大人の力の大きさを知るのです。
 困った時、大人の援助、支えによって子どもは不安にならず自分にもできるという気持ちがわいてきます。この時の大人は子どもの陰の援助者でなければなりません。「ひとりではできないんだからダメね。」とか「できるはずないんだからやってあげますよ」などいって、子どものやる気を取りあげてしまうとせっかくの好奇心も消えて、大人に頼るだけの子どもになってしまいます。
 逆に、独立心を育てると称して、どんなに子どもが弱り果てていても手を貸さず、放っておくと、子どものこころは傷つき、人に対して攻撃的にもなってきます。
 また、幼い子どもに自力で問題を解決させることなどとんでもない、かわいそうで見ていられないといって、何でもすぐ子どもの要求に応じてしまうことがあると、子どもはがまんがきかなくなり、少しでもいい分かとおらないとかんしやくを起こすようになります。

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 この年令の子どもにとって、噛み付くということは最も効果的な攻撃の方法であり、最大の自己顕示方法であり、いったんそれに成功すると、噛み付くことを繰り返すようになります。
 大人は陰の援助者になるべきといいましたが、どんな時に援助したらよいか考えてみましょう。二歳から三歳にかけては見るもの、聞くもの珍しくて何でもやってみようとしますが、成功することばかりではありません。失敗して泣いたり怒ったりの連続です。この時大人はそっと手を貸したり、慰め励まし時には教えてもう一度挑戦していく気持ちにさせることが必要です。
 この子は失敗ばかりしていてダメな子、などと決して思わないでください。失敗の連続の中から大人の力を借りながら成長していくのです。この大人の力、つまり、大人の上手な助け、慰め、励まし、教えが人への信頼関係にも結びつき、自立していくめばえが育っていくのです。
 噛み付かずに相手に向かっていく姿勢を教えるのは大人の力なのです。
 今までのことをわかっていただくとお気づきになるかもしれませんが、五歳になっても噛み付きがあるということは何故か、そのわけはいろいろあると思います。
 まず、ひとりっ子、第一子、やっと生まれた男の子など、小さい時から甘やかし過ぎてはいなかったでしょうか。
 一般的には五歳ころになると、日常生活の中でかなり、約束ごと、きまりを理解する力がでてきて家庭生活では多少わがままがあっても、社会生活の中 では自と他の認識もでてきます。自分の要求を主張すると同時に、人の要求も認め自分を抑えて相手に協力していく姿勢が育ってきます。この点から考えると、この五歳の子どもは情緒面での遅れがあるといえましょう。
 とすれば、叱っているだけでは直りません。この子は気にいらないことが起こった時の問題処理の方法をまだ知らないのです。かみつくことで精いっぱい自分を主張しているのです。まず何か気にいらないのかやさしく問いてあげることが必要です。必ず怒りたくなる原因があるはずです。本人がうまく言葉でいえなくとも叱らず、あせらずゆっくり気持ちをわかってあげることが、噛み付かないようになるための第一歩です。
 大人がわかってくれたと思うと安心して、噛み付きたくなる怒りも治まることでしょう。気持ちを確かめたうえで、噛み付く代わりに相手に自分のいい分を伝える手段、方法を教えてあげましょう。子どもがいえなければお母さんがお手本を示していってみることも必要でしょう。
 この子どもの場合、人との対応の仕方を学ぶ機会が今まで与えられなかったともいえましょう。玩具の取り合いの仕方、自分の要求の通し方は勿論、気分かいらだった時の気持ちの変え方など人間関係をすすめていくうえで大切なことが何も身についていないようです。これは子どもの問題というより、今までかみつくことしかさせなかった大人側の問題ともいえましょう。
 もう一つ考えなければならないことは、この場合、知能、言葉の発達はどうかということです。言葉が遅れているために、十分言いたいことがいえずに噛み付くとか、知能の遅れがあるため、人とかかわりをもつ手段が自力では考えられず、噛み付く行動として現われてくるという例もあります。
 いずれにしても、専門家に相談することが望ましいと思います。

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