異性の友だちとだけ遊ぶ

 六歳の男の子ですが、ひとりっ子のせいか気が弱く、いつも女の子とままごとばかりしています。このままでは、来年の小学校への入学が心配です。どうしたらよいでしょうか。
 確かに標準としての発達状況から考えると、六歳の男の子が、男性としての集団参加が遅れているように思われます。おそらくこのまま放っておきますと、この傾向はますます強まってくると思うのです。幼児期に入る前の子どもには、あまり男女の区別なく一緒に遊んでいるのですが、幼児期に入っていくと、少しずつ男の子、女の子という性の区別が認められるようになってくるのです。幼椎園や保育所で友だちを選ぶという傾向も生まれてくるわけですが、その際男の子は野球などの男の子らしい遊びをし、女の子はままごと遊びなどの女の子らしい遊びをし、友だち遊びも活発になってくるわけです。この際注意してみていますと、まず女の子の集団化が先にはじまり五から六歳でかなり活発になってくることがわかります。一般には六歳児としては、女の子たちも個別に男の子を仲間入りさせることは少なくなっていると思うのです。ですから、お子さんが女の子の仲間とままごと遊びをしているという状態は、非常に発達が遅れているのか、あるいは性の役割の分化がはっきりしない特別な理由があったのかのいずれかでしょう。
 性の役割の分化がはっきりしない理由として考えられることは、まず親との関係があると思います。親との関係では、男の子の場合は、母親との関係です。また、育った環境に男性的な要素が少なく、女きょうだいの中で育ったとか、近所に男友だちが少なかったなどということが考えられるのです。

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 男らしくなるとか、女らしくなるということは、性の生理学的基盤だけではないのです。どちらかと言うと社会的な事情が左右しているのです。それは男女の親というモデルがあるからです。精神分析学において、フロイトが、男の子が母親を愛し、女の子が父親を愛していくというコンプレックスの存在を述べています。つまり、父親が母親に対する態度とか行動を毎日見ていれば、当然その役割を自分の行動にくみ入れていくよう にもなるわけですし、また母親に対して男の子が持つ愛情が、男の子をして男性の役割行動を定着させることに拍車をかけるわけです。とすると、家庭の中でのお子さんが、男性としての役割行動がとれない理由として、父母の関係と、母子関係とにその結びつきの弱さが認められるか、さもなければ、きょうだいや近所の子どもに女性が多かったのかのいずれかだと思います。
 また、このような男女の役割の分化は、文化の型の違いによっても大いに変わってくることが、文化人類学者によって指摘されてきています。未開の地で、男が家事をし、女が狩りに出かけるという部族のいることが報告されているのです。とすると、あまり社会的な関係が拡がっていかない幼児期に、性の役割の分化を妨げる条件が働らけば、当然男らしくない男の子が出来てくるわけです。ただ一般的に言われているような性の役割は、ほんの一部で、実際には、個別的な特徴をもった性の役割が現れてくるものなのです。
 今心配されているお子さんは、本当に性の役割の分化が遅れていると考えてよいか わかりませんが、遅れていると仮定して、これからどのように性の役割の分化を促進していったらよいかを考えてみましょう。
 まず、今までに述べて来たご家庭内の事情ですが、もし父親らしくない父親がいればともかく、そうでないでしょうから、別のことを考えるのです。
 この性の役割の分化は、周囲から本人に強要しても出来るものではないと思います。むしろお子さんのおかれている事情に気をつけることでしょう。例えば一つの問題として、父親があなたとお子さんとの結びつきを嫌がっていると、どうしてもあなたがお子さんを男の子としてかわいがれなくなってしまうことがありますので、こういうことをご夫婦で話しあって気づいてみるということもよいと思います。
 ただ、誰でもこのような性の役割が同じように分化していくものではなく、かなり個別的に、性の役割が形成されていくものですから、今は女性的なやさしい子どもであっても、違う機会に、男性としての力強さを示すことが出来るようになっていくこともあると思うのです。例えば、興味の探究とか、他人のために力を尽くすというような仕事のしかたをめぐっての男性的表現などは、これからもかなり新しい態度がつくられてくる可能性が大きいのです。その ためには、これからは出来るだけ父親とお子さんの接触をはかるように心がけたらどうでしょうか。もうそろそろ父親をあこがれる年ごろになってきているからです。
 女の子とままごと遊びをしているお子さんを見て心配しているあなたは、将来の心配として、中性化した男性を考えているのではないでしょうか。たしかに女性を志向している男性の幼少時の思い出として、「自分を男性ではないと思い、女の子とままごと遊びばかりしていた」というようなことを語られています。このような男性には、それなりの極端な理由が必ずあるはずなのです。ですからあなたも、ご自分の家庭を省みて、前に述べたような何か異常な問題に気づかれるようでしたら、今からでも遅くはありませんから改善していってください。改善することがないようでしたら、あまりお子さんについて不安を感じていないで、もう少し成長するまで見守っていてください。どんな問題でも、はじめは些細なことなのですが、それを極端に意識しすぎる親がいて、子どもに対して叱ったり、うるさく注意したりすることによって、次第に子どもの方がおかしくなることが多いものです。正常と異常の間というのは、とかくわずかな違いでゆれ動いていることが多いのですから、こ れからは親の態度でも子どもが異常になってしまうことのないように十分気をつけてやって欲しいと思うのです。たとえ家の近所でままごと遊びをしていても、学校では、必ず同性間の友だち遊びに加わっているものです。そのような広い子どもへの見方をしていくようにしたいものです。

友だちの選び方/ 友だちにいじめられる/ 友だちをいじめる/ 友だちとすぐケンカになる/ 仲間外れになる/ 友だちに嫌われる/ 友だちをえり好みする/ 友だちのまねばかりする/ 友だちの言いなりになる/ 友だちの悪口を言う/ おせっかいやき/ 親の気に入らない友だちとつき合う/ 気に入らないとすぐ噛み付く/ ボスになる/ 異性の友だちとだけ遊ぶ/ 友だちができない/

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