父親と母親の意見と態度の食い違い

 五歳になる女の子ですが、叱られたりす、何か気に入らないことがあると、すぐに外に出ようとします。私はほうっておこうとすると、主人は止めようとします。どうも主人と意見がくい違うようです。私としては、どのような態度で子どもに接すればよいのでしようか。
 父親と母親とで、子どもに対する態度や考え方がくい違うということは、多かれ少なかれどこの家庭にもあることだと思います。くい違い方にもいろいろあると思うのですが、代表的なものを挙げてみることにします。
 どちらかが厳しく、どちらかが甘い場合。
 母親の方が細かいことにロうるさく、父親の方が鷹揚である場合もあるし、父親の方が躾に厳格で、母親の方がやさしいという場合もあると思います。前者は、母親が日常生活のうえでいつも自分の側にいる子どものすることなすこと、一つ一つが気になり、どうでもよいことにロうるさく注意したり、制限を加えたりするのを見て、子どもとはふだん離れていてたまに出会う父親が、まあそんなことはどうでもいいではないか、と包容力を持って子どもに接するというような場合です。後者は、父親が、子どもとじかに接することが少なく、父親としての役割を厳格な態度によって示していて、母親は実際に子どもに接して子どもの気持ちや事情をよくくみとって受け入れているというような場合です。おおまかに言って、どちらかが子どもの要求に対して拒否的で、どちらかが受容的であるという場合です。子どもは大人をよく見分けていますから、甘い方の前では奔放に振る舞ったり、甘えたりするし、厳しい方の前では緊張して良い子になろうとします。そのどちらの要素も、大人と子どものかかわりにおいて必要なのではないでしょうか。その程度が極端なのは考えものですが、一般的には、どちらかがより厳しく、どちらかがより受け入れて、互いに補いあって育てていくというのが、ごく普通の姿ではないでしょうか。

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 どちらかが感情的で、どちらかが客観的な場合。
 どちらか一方が、すぐ感情に支配されやすく子どもの言動にむきになって怒ったり、少しのことでオロオロしたりするタイプで、もう一方は、もう少し冷めた感情で、客観的に子どもの言動に対処するというタイプであるような場合です。親も人間ですから、常に一貫性をもって自分を完全にコントロールして、子どもに接することなどできるはずがありませんし、また、そういうふうに育てられると良い人間が育つという保証もありません。ある時は、親の激情にぶつかることも大切です。子どもというものは、人間のいろいろな側面を見ながら、子どもなりに感じたり知ったりして育っていくのです。しかし、判断力が未熟であったり、気持ちの統制がうまくとれない子どもというものを、客観的な気持ちと冷静な態度で導くことも大切なことです。ですから、こういう場合も、二つの態度が共存していてよいと思うのです。
 この二つの例は、子どもに接する日ごろの態度や、子どもに見せている親の人間性のようなものの違いという観点から挙げたものですが、本問のような例は、少し問題が別のようです。これは、子どものとる特殊な態度に対して、それをどのように扱うかについての考え方の違いのようです。こういう時は、どちらの方が、子どもの気持ちをよくつかんでいるかということが決め手になると思います。
 本問では五歳の女の子がしかられたり、気に入らないことがあると、出て行こうとするというものですが、五歳の女の子にしては少しめずらしい行動のように思います。この年令の子どもだとしかられれば泣くでしょうし、気に入らなければだだをこねたり、ぐずったりすると思うのです。現実に、五歳の子どもが家出をして親と離れて暮らしていくことはできないのですし、何を考えているのかわからないと言っても、親へのあてつけに盗みを働くとか、自殺でも企てようなどということもちょっと考えられません。ですから、これは、自分の思いを通そうとする手段であったり、親の気持ちを再び自分に向けようとする方法であったりして、要するに、そういう気持ちの表現であるわけです。自分が、こういう態度をとることによって、すぐ親がおどろいて、呼び戻しに行ったり、気に入るようにしてあげたら、子どもはさぞかしやりがいがあると感じるでしょう。もし、家を出るという時の様子が、親から見てとても心配なものであれば、母親は当然それなりの対処をすることと思いますし、ちょっとした不満の表現にやっているという程度のものであれば、あまり刺激せずにほっておくと思うのです。お母さんは、たぶん、そのへんのところを体験的にのみこんでいて、ほっておくのだと思います。この場合は、ほっておくというのが自然のやり方のように思えます。しかし、お父さんは少し違った感じを受けているようです。お父さんはふだんあまり子どもとのつきあ いがなく、子どもの気持ちがよめなくて、こういう相手を驚かすような態度に左右されているようにも思えますが、そうと決めつけることもできません。出て行こうとするという行動そのものでなく、そういう表現のしかたを繰り返すということに、何か一つの不安を感じているのかもしれません。つまり、母親というものは、子どもの表現とか、子どもと自分との関係について別の視点から見てみるということができにくく、いつもの習慣化しているやりとりに流されていることかあると思うのです。時には、父親の違う意見に耳を傾け、いつもの自分のやり方というものを、考え直してみることも大切だと思うのです。違う意見を聞いてみることを、自分と子どもの関係や、子どもの気持ちについて別の角度から、考え直すチャンスにすることができるとよいと思います。

父親と母親の意見と態度の食い違い/ 父親の言うことはきくが母親の言うことはきかない/ 親の顔色をうかがう/ 親の言う事を聞かない/ 親を批判する/ 親と話をしたがらない/ 親を脅す子/ 注意するとすぐふくれる子/ 自分の物に人がさわると嫌がるときの扱い/ 口答えする/ 反抗期の子ども/ 兄弟への公平な接し方/ 兄弟げんか/ 弟や妹をいじめる/ 異性のきょうだいのいない子/ お下がりと子どもの不満/ やきもち/ 一人っ子/ 末っ子/ 中間の子/ 長男・長女/ 祖父母と子ども/ 家族としての意識の薄い子/ 子供部屋と家族のふれあい/ 難しい中学生との接し方/ 大学進学問題で親子の意見が対立したとき/ 義理の親子関係/ 離婚したときの子どもの扱い/

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