口答えする

 五歳の男の子ですが、最近、ああいえば、こういうと何かにっけて口答えをするようになり困っています。はじめのころはそれほどでもなかったのですが、このごろはとんでもないへ理屈を言うしまっです。私のほうもむきになって止めても相変わらず止めようとはしません。なんとか直したいと思うのですが、よい方法はないものでしようか。
 五歳にもなれば、言葉をたくさん覚え、ロが達者になり、言葉のやりとりで自分の立場や気持ちを相手に主張したり、要求を通そうと頑張ったりするようになりますから、口答えが多くなってくるのは不思議ではありません。また、人間関係では、どちらかが相手をおさえようとすれば、おさえられる方は相手に反抗するわけで、親子関係では、子どもが親に反抗するようになるというのもごくあたりまえの現象だと思います。自分の要求をおし通そうとして、いろいろと理屈をつけてくるというのもあるし、親に何か命令されると、命令されたことの内容がいやというのでなく、命令にすぐ従うことに抵抗を感じて何かと理屈をつけては一度で従わないというのもあるし、頭ごなしに注意をされると屈辱を感じて、相手をへこましてやろうという感じでむかってくるというのもあるし、いずれにしても、子どもの自己主張のあらわれであるわけです。子どもは成長する過程で、必ずこういう時期を通りますし、自己主張は人間性の基本になることです。
 口答えは、子どもが言語を駆使して自己主張するようになったと考えれば、むしろ喜ばしいことです。子どもが首尾よく発達していることの証拠なのですから。

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 小さいころは、親の言う通りに素直に言うことを聞いていた子どもは、親にとって、思いどおりになる存在でした。ところがある時から、驚くべき理屈をこねて反撃してくるようになると、親はムカッとなり、とまどい、なんとか再び相手をおさえつけてやろうとするものです。
 「もう、テレビは終わり。消しなさい」「やだ、まだ見る」「もう八時だから、子どもの番組は終わりよ。」「ボクは、大人の番組が好きなの」こういうふうにこられると、 親はいらだちます。
 「消しなさいといったら消しなさい、もう寝る時間。」「まだねむくない」「寝ないと、あした起きられないでしょ。あした幼稚園に行くんだから」「幼稚園に行きたくないよーだ」ますます、親はくやしくなります。「じやあ、あしたは一人で留守番してなさい。ママはでかけるから」「ママがいない間に、ボクが死んじやってもいいんだね」
 こうやって、この言い合いはどちらかが、どちらかを屈服させようと、果てしなく続いてしまいます。親の方が、子どもをなんとかしておさえつけて、自分に服従させようという意気ごみでいる限り、この口答えは直らないと思うのです。ますます相手に腕を上げるチャンスを与えているようなものです。相手をグウのねも出ないような理屈でねじふせたとしても、いつかその理屈を逆手にとられて、逆襲されることもあります。大人でも理づめで承服させられるのは、不愉快なものです。親は口答えをされると、どうしても理づめで納得させようとしてしまうのですが、それは得策ではありません。
 本問の例では、口答えがだんだんエスカレートしている様子です。これは、お母さんの方が、かたくなになっているのか、理づめにするくせがあるのか、なにかお母さんの態度によってそうなっているのではないかと思います。
 「お知らせします。何を言いにきたと思う」「テレビを消すんでしょ」「当たりました。お願いします」
 こういうふうに変えてみるだけでも、ちょっと違った雰囲気になって、子どもの方も、反発してやろうという気持ちが、うすらぐと思います。子どもは、そろそろテレビを消して、ねる時間だということを、体験上知っているのですから。また、何か何でも子どもより上位の立場を守りぬこうと頑張らず、時には、相手に言いまかされてしまってもいいと思うのです。
 「困ったわ。どうすればいいの」と、とぼけてみせるのも一つです。子どもの方に、いい気にさせてしまっては、ますますつけ上がるだろうなどと心配する必要はありません。口で言えばロで返すのですから、ロでいうべきことを、パントマイムでやってみるのもよいですね。要は、親と子どもの間の緊張した関係がほぐれ、雰囲気が変わることが大切なのです。子どもを屈服させるのでなく、子どもの気持ちを変えてあげるのです。要求を阻止する時とか、やりたくないことをやらせる時とかいうものは、一つの緊張場面です。こういう時に、力によって思いどおりにしようとしたり、理づめで納得させようとすれば、子どもの方はかたくなになり、口答えのパターンからぬけだせなくなってしまいます。口答えは、叱られた時の自己防衛の手段でもあり、先に述べたように自己主張の手段で もありますから、誰でも口答えをするわけです。しかし、口答えばかりしている人というのは、いただけません。そんな人間にはしたくないと思うわけです。そこで、そういう緊張場面を、お母さんの方から柔軟な態度で、いろいろな出方をしてみてはいかがでしょうか。

父親と母親の意見と態度の食い違い/ 父親の言うことはきくが母親の言うことはきかない/ 親の顔色をうかがう/ 親の言う事を聞かない/ 親を批判する/ 親と話をしたがらない/ 親を脅す子/ 注意するとすぐふくれる子/ 自分の物に人がさわると嫌がるときの扱い/ 口答えする/ 反抗期の子ども/ 兄弟への公平な接し方/ 兄弟げんか/ 弟や妹をいじめる/ 異性のきょうだいのいない子/ お下がりと子どもの不満/ やきもち/ 一人っ子/ 末っ子/ 中間の子/ 長男・長女/ 祖父母と子ども/ 家族としての意識の薄い子/ 子供部屋と家族のふれあい/ 難しい中学生との接し方/ 大学進学問題で親子の意見が対立したとき/ 義理の親子関係/ 離婚したときの子どもの扱い/

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