弟や妹をいじめる

 小学校三年生の男の子ですが、最近、何かといっては、すぐに弟や妹をいじめるようになりました。学校では、おとなしく、成績もトップクラスで、友人関係も別に悪いことはないそうです。以前は、私の代わりによく弟や妹の面倒をみてくれ、良い子だったのに、どうしてこんなになってしまったのか、その原因も分からず悩んでいます。なんとか、直す方法はないものでしようか。
 きょうだい仲良くとは親の願いですが、一般に仲の良いきょうだいとは表面的で、本質は、あまり仲良くないことが多いようです。なぜなのでしょうか。結局子どもたちは皆親の手元で、それぞれ自分が一番多くかわいがられていきたいと願っているので、子どもどうし、つまりきょうだいは、ライバル関係になっているのです。ただこれは一般論であって、きょうだい仲は、親の態度によっても、かなり違ってくるようです。とくに親が、子どもたちに対してはっきりした秩序をつけるとか、きょうだいが協力しあうように、親子関係をつとめて個別的に持たないようにすれば、当然きょうだい仲は良くなっていくと思うのです。子どもたちに、はっきりした秩序をつけるとは、長子をたてるとか、男女の区別をするとか、子どもの長所によって頼むところを変えるということです。これは、一人一人に立場を認めて、家庭内での位置づけをはっきりさせ、お互いの争いをなくそうとするものです。親子関係を個別的に持たないようにするとは、子どもの集団関係は、その自然のなりゆきを尊重し、決して親がそこに介入して、いわゆる親子の「タテ」の関係を強めず、あくまでも「ヨコ」の関係が強くなることを考えることです。
 つまり家族という集団で、親との結びつきが強まれば強まるほど、きょうだい仲は疎遠になってくるというわけで、今は、親を奪いあうという状況にあるのではないでしょうか。

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 前は、親に代わって、よく弟妹の面倒をみてくれたのに、最近は、ガラッと変わって、弟妹いじめをやるようになり、その原因がわからないというのですが、前は、既に述べたように明らかに弟妹とは、一線を画していると思われる立場にあったのではないでしょうか。例えば、弟妹は幼く、自分だけが、誕生日を祝われるとか、七五三、クリスマスというような家庭内の行事の中心にあったのが、次第に弟妹も同じような立場で参加しはじめてきたというようなことです。とかく長子というのは、きょうだい内で一種の特権階級であって、常に新しい洋服とか、玩具を買ってもらえるとか、学校や幼稚園へ新しく入るという場合にも親や祖父母も大騒ぎで祝ってくれるというようなことがあり、それだけでも、ある種の優越感を感じやすいものなのです。ですが、親の方も、あまりそのような秩序をつけることは、かえって弟妹の方をひがませると考えるようになり、極端な形で弟妹を意識してよく扱おうとするようになることがあります。そうなってくると、ここで長子は、今までのような安定した立場からひきずりおろされる形となって、弟妹をライバル視してくることになると思うのです。こんな長男の方の心境の変化をつくる条件が思いあたらないでしょうか。親は意外と自分のしていることを自分の考えや感情だけでわりきっていて、子どもの立場に立って考えないことが多いものです。
 本問でのお子さんは、学校ではおとなしく、成績もトップクラスとのことですが、このように外にむかっては、あまり傍若無人なことが出来ない、いわゆる外づらの良い子は、どうしても家の中で自分の気持ちを満たそうとすることが多いようです。小学校三年生という年令は、いわゆるギャングエイジとよばれる年ごろですから、一般には、外での活動が激しくなってくる年ごろでもあるわけです。それがおとなしく、紳士的であるというのは、やはりよく秩序を守ろうという優等生タイプのお子さんなのでしょう。このような子どもに限って、内面は非常にデリケートな感性をもって暮らしているのです。感受性が敏感とでも言うべきでしょうか。おそらく情緒的にも動揺しやすいのではないでしょうか。
 子どもは、発達的にみて、幼児期から小学校低学年までは情緒的に反応していますから、情緒的な安定をうるために、いろいろな防衛的な反応をおこすことが多くなってくるわけです。それが、小学校の高学年から次第に合理的な解決を重んじる暮らし方に変わってくるわけで、それだけに今のこのお子さんは、生活態度の切りかえが行われる時期ともなっているわけでしょう。
 このような切りかえの時期には、ややもすると、混乱がおきやすく、理くつではわかっていても情緒的なこだわりが強くなりすぎて、動きがとれなくなってしまうのです。とくにあなた のお子さんのように、頭の良い感受性の強いお子さんには、このようなトラブルが強くおきやすく、それが、きょうだいいじめに発展してくるのかも知れません。
 まずあまり、親が神経質にならないことです。親が気にして、長男を問題視すればするほど、デリケートな気持ちで暮らしている長男は、親の自分にむけられている愛情の不足を感じてしまうことになりやすいのです。だから放っておけというわけでもありません。一番大切なことは、長男の不満に感じている気持ちをわかってあげることではないでしょうか。よく言われる不公平な愛が必要なのです。誰でも主観的に、自分こそ、きょうだいの中で、親から一番信頼され、愛されていると思いたいものなのです。決して公平でよいとは思わないのです。表むきは公平に見えても、親が一人ずつ子どもたちの希望をかなえていることが大切なことなのです。これが不公平な愛です。不公平な愛こそ愛の本質と思うのです。また親は子どもの長所を認めていながら、それをロ外することをためらうことが多いようです。そして心にもなく、叱ってみたり、抑えてみたりするようです。とくに上の子に対する風当たりが強いように思われます。もっとこの長男の良い点を発見して認めるようにしていったらどんなものでしょうか。また、たとえ長男のこの子が、弟妹のようにあなたに甘えて来たとしても、それはかまわず受けてやったらよいと思うのです。本人が、体面とか年令ということがわかるようになるのは、もっと先であると考えてあげたらよいのです。

父親と母親の意見と態度の食い違い/ 父親の言うことはきくが母親の言うことはきかない/ 親の顔色をうかがう/ 親の言う事を聞かない/ 親を批判する/ 親と話をしたがらない/ 親を脅す子/ 注意するとすぐふくれる子/ 自分の物に人がさわると嫌がるときの扱い/ 口答えする/ 反抗期の子ども/ 兄弟への公平な接し方/ 兄弟げんか/ 弟や妹をいじめる/ 異性のきょうだいのいない子/ お下がりと子どもの不満/ やきもち/ 一人っ子/ 末っ子/ 中間の子/ 長男・長女/ 祖父母と子ども/ 家族としての意識の薄い子/ 子供部屋と家族のふれあい/ 難しい中学生との接し方/ 大学進学問題で親子の意見が対立したとき/ 義理の親子関係/ 離婚したときの子どもの扱い/

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