お下がりと子どもの不満

 小学校二年生になる男の子です。以前から、上の子の使った学用品や衣類などのお下がりを与えていたのですが、近ごろは、「こんな古いのはいや」とか「アニメのっいたのがいい」とかいって、なかなか言うことを聞かなくなりました。どうもお下がりにだいぶ不満な様子ですが、どうしたらよいでしようか。
 幼いころは、親とむすびついていた子どもも大きくなるにつれて、友だちが大事になってきます。小学校二年生というと、まだ友だち関係は流動的で、決まった仲間が結成されるには早い時期ですが、その前段階として「皆と一緒」ということに喜びや安定を見い出すことが認められます。どんなに高価な洋服を着せても、まわりの子どもと異質であれば、いやがります。自転車や野球の道具を欲しがったりするのも、たんにそれが欲しいというより、それらを持つことによって友だち仲間に安心して入れるということがあるのです。「古いのがいや」とか「マンガのついたのがいい」ということの真意がどこにあるのかを確めて、お友だち関係が問題なら、なるべく気持ちをかなえてあげたいと思います。必ずしも新しい物を買わなくても、アニメのワッペンを貼ってあげたり、皆と同じような字やマークを背中につけてあげることで解決することも多く、今は既成のワッペンやアイロンプリントのように手軽に細工できるものが多いので、簡単に出来ると思います。
 お子さんの嫌がる理由が品物自体に対する不満ではなく、お下がりばかり与えられることへの不満であれば、問題は、親子関係、兄弟関係にポイントを置いて考えなければならなくなります。

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 子どもにとってお下がりというのは、二つ意味があります。新しい物ではないということ、お兄ちやんのいらなくなった物を与えてすまされるということです。子どもは気にいった物であれば必ずしも古い物をいやがることはありません。誰かが使っている物を喜んでもらってきたり、親が顔をしかめるような汚い物でも平気だったりします。従姉からまわってきた洋服を喜んで着たり、お父さんのボールペンをおねだりしてせしめてきたりします。
 子どもがおさがりをいやがるのは、やはりそこに、親の自分に対する二番せんじの気持ちを読みとるからではないでしょうか。それは、その時着せられようとしている洋服が問題なのではなく、日常の親の自分に対する見方に対する抗議と受けとった方が良さそうです。
 はじめての子どもが成長する時は、親にとってはすべて新しい経験です。不安も喜びも新鮮に感じるでしょう。幼稚園に入園したり、小学校に上がったりする時は、親は子ども以上に自分のこととして受け取っているこ とでしょう。当然、用意するべき品物も、新しく買い整えることになります。新しい洋服に学帽、ランドセル、ノート、筆箱、教科書の一つ一つに、ていねいに親が書き込んでくれる自分の名前を見ているのは、子どもにとっても心おどるものでしょう。
 ところが二番目の子どもの場合、長持ちする品物ならほとんど上の子どものものが残っています。乳母車も三輪車もおさがりです。親も上の子どもの時のような新鮮さはありませんから、もっぱら経済性を優先して、使える物はおさがりですませようとします。親にとっては、子どもに対する愛情の問題などではさらさらなく、もっぱら、「もったいない」という現実性で行動している訳です。でも、下の子どもは、物心つくと、何かの析に、お母さんが新しい物を買ってきては、うれしそうにお兄ちゃんに着せてみたり、持ち物を整えたりしているので、うらやましい気持ちで見ることになるわけです。そして自分の時には、お兄ちゃんの名前を消して隣に小さく自分の名前を書かれたリックサックを渡されたりするのです。親も別に緊張して張り切っていみ様子もなく、「さあ、これでいいわね」と事務的になったりします。下の子は、何となく、自分よりお兄ちゃんが大事にされているように感じてしまいます。異性のきょうだいなら、着る物も別になったりするでしょうが、同性のきょうだいだと大部分の物は間に合ってしまうので、一層悲劇的です。もし、日ごろお兄ちゃんの出来の良さに比べられて叱咤激励されているような子どもなら「やっぱりお母さんはお兄ちゃんの方が好きなんだ」と思い込んでしまうかもしれません。
 問題がお母さんの愛情を求めているのであれば、それを与えてあげればよい訳です。ちょっとした気の配り方で、おさがりでも喜んで使ってくれるものです。
 まず、出来ればそのまま渡さないようにしましょう。「今度はあなたが着るんだから、特別にアイロンをかけてあげましょうね」とていねいに扱われれば古いTシャツも立派にみえてくるかもしれません。「あなたには青いボタンより金色の方が似合うから、金色のボタンをつけたよ」と渡されたブレザーは、自分の物という気持ちがするかもしれません。手編みのセーターなら編み直してあげたり、長いGパンは短ズボンにしてしまう等、「あなたに合うように一生懸命考えていますよ」という姿勢をみせれば、子どもは納得するものです。又、いつもおさがりばかりでなく、要所要所では、きちんと新調してあげることも必要でしょう。初めての遠足に、リックサックはお兄ちやんの物だけど帽子は僕のお気に入りのジャイアンツのマークのついた新しい帽子だ、ということになれば、張り切った気持ちになれるでしょう。
 もう一つは、古い物で我慢させてもよいけれど、それが不自由なものであったらいけないと思うのです。袖が長すぎたり、帽子が大きすぎたり、ましてこわれたものをそのまま使わせたりすることはやめましょう。
 結局、何人子どもがいても、一人一人をきちんと見て、その子どもが何を考え感じているかを個々に理解していこう、一人ずつ、きちんとした心のつながりを求めていこうとしていれば、必要な心配りは自然に出来るし、子どもも不満は持たないのではないでしょうか。

父親と母親の意見と態度の食い違い/ 父親の言うことはきくが母親の言うことはきかない/ 親の顔色をうかがう/ 親の言う事を聞かない/ 親を批判する/ 親と話をしたがらない/ 親を脅す子/ 注意するとすぐふくれる子/ 自分の物に人がさわると嫌がるときの扱い/ 口答えする/ 反抗期の子ども/ 兄弟への公平な接し方/ 兄弟げんか/ 弟や妹をいじめる/ 異性のきょうだいのいない子/ お下がりと子どもの不満/ やきもち/ 一人っ子/ 末っ子/ 中間の子/ 長男・長女/ 祖父母と子ども/ 家族としての意識の薄い子/ 子供部屋と家族のふれあい/ 難しい中学生との接し方/ 大学進学問題で親子の意見が対立したとき/ 義理の親子関係/ 離婚したときの子どもの扱い/

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