末っ子

 四歳の男の子ですが、四人きようだいの末っ子のせいか、甘えん坊です。町に出ても、しばらくは歩いていますが、すぐに「おんぶ、おんぶ」といったり、食事でも、一人で食べようとしません。こんな状態なので、幼稚園にやるのが心配です。なにかよい指導方法はないものでしようか。
 四歳になって、食事をたべさせてもらいたがったり、すぐ、おんぶをせがんだりすることは確かに甘えん坊と言われてもしようがないことでしょう。甘えん坊とはどんな状態なのかを考えてみると、自分が出来ることも人にしてもらいたがる。すぐ助けを求める。大人の力を上手に利用する。というようなことが考えられます。このような傾向は、生まれつきというようなものでなく、やはり生まれてから現在まで、家庭を中心とした人間関係の中で、自分が一番快適に暮らせる方法を子どもが見い出してくる中で、このお子さんが到達した生活の仕方なのだと思うのです。つまり、そうさせた要因は家族の側にもあるので、急に幼稚園に入るからといって一人で出来ないことを子どもの責任として追求することは気の毒なことです。むしろ、自分たちがこのような状態を作り出してしまい、子どもに重荷を負わせることになってしまったことを考えてあげてほしいのです。末っ子のせいとあるのは、やはり甘やかしてしまった、という気持ちがお母さんの中にもあるのだと思います。
 このお子さんの場合、問題は二つあると思います。その一つは、甘えっ子に仕立てあげてしまった家族の体質を気力のある子に育て直すために、どう切りかえていくかということ、第二は、こういう状態のお子さんを自由に参加させていく時、どういう点に気をつけたらよいか、という点だと思います。

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 甘やかしてしまったということは、かわいがられた、とも言い直せると思います。このことは、今、困った結果になったようにみえても、基本的には、このお子さんにとってとても幸せだったとも思えるのです。小さい時に充分かわいがられるということは、人生に対して厳しさより暖かさを得て出発出来たということで、お子さんの性格の基本に、人に対する好意や愛情、自分の存在に対する絶対的な自信を育てることが出来、これはかけがえのないことだと思うのです。ですから、今までのやり方が全部いけなかったと反省し、百八十度の転換を考える必要はない訳で、今までの生活の中で足りなかった部分を育てていくことを考えていらっしやれば良いと思うのです。
 このお子さんにとって不足した部分というのは、自分でやることの楽しさを味わう。一人で出来るという自信を感じる。ちょっとした障害を乗り越える喜びを知る。努力すると報われることを体験する。というような経験だと思います。
 四人きょうだいの末っ子ということは、このお子さんが生まれた時、上にまだ幼い三人のお子さんがいた訳で、お母さんとしては、とっても大変な時期だったと思います。そのうえ、赤ちゃんを育てることは手なれていて、いちいち心を労することも少なく、手早く世話をしてあげたり、上のお子さんに手がかかるためにこのお子さんの動きに合わせて待ってあげたり、励まして一人でやらせたりすることより、おんぶやだっこをしてしまったり、やってあげてしまうことの方が家庭生活全体が円滑にいったのではないでしょうか。また、小さいお兄ちゃんやお姉ちゃんからみると、自分が大きいのだということを証明してみせる絶好のチャンスとして赤ちゃんを利用したということもありましょう。
 一挙に自立を求めるのでなく、まず、一人でやることの楽しさを味わわせましょう。一生懸命やっていることに手出し、口出しはやめて、やりとげたことを認めてあげましょう。家族の中の最年少ということは、能力的な競争関係では一番不利だということで、これを補うために幼さを逆手にとるということもあるのですから、上と比べて激励したりせず、このお子さん独自の成長のプロセスを見てあげて、がんばったこと、良く出来たことを認めてあげてください。
 つい手が出てしまうことを周囲が我慢することが一番難しいことだと思います。
 四番目ということで、このお子さんを、一人の人間としてじっくり見て付き合っていくという面が少ないことはないでしょうか。上のお子さんとは違う個人的な主張や訴え、良さというものが必ずあります。十把一からげにならないように、四人のお子さんに個人として対していくこと、そのうえで家族の皆さんにも協力してもらうことが大事でしょう。
 お家の中での接し方が変わってくると、お子さんは少しずつ変化してくると思います。時間をかけて見守ってあげれば良いのですが、幼稚園に入るまでに、何とか人並みにこぎつけようと思うと無理が出て来ます。周囲が焦ると、それは直ちにお子さんの自信喪失につながります。幼稚園で、一人で出来ないことや、他のお子さんと比べて遅いことを非難されたり、せき立てられたり、馬鹿にされたりすると、とたんにお子さんは気力を失って家庭に逃げこむことになりかねません。
 幼稚園には間に合わなかったけれど、学校に行く時には身のまわりのことが一人で出来るようになれば良いと考えれば、この問題はそんなに大騒ぎするよ うなことではなく、忍耐強く見守っていくことでお子さんは十分期待に応えてくれると思うのです。
 こう考えると幼稚園の選択が大事になってきます。一律に同 じことを求めたり、何かが出来ることだけが良い評価につながるような幼稚園は出来れば避けた方がよいと思います。人数が多すぎる所も、どうしても集団的な扱いが多くなりますから適当と思えません。
 このお子さんを一人の努力している人間とみてくれて、お子さんのペースを守り、適切な援助をしてくれるような幼稚園をぜひみつけてあげてください。

父親と母親の意見と態度の食い違い/ 父親の言うことはきくが母親の言うことはきかない/ 親の顔色をうかがう/ 親の言う事を聞かない/ 親を批判する/ 親と話をしたがらない/ 親を脅す子/ 注意するとすぐふくれる子/ 自分の物に人がさわると嫌がるときの扱い/ 口答えする/ 反抗期の子ども/ 兄弟への公平な接し方/ 兄弟げんか/ 弟や妹をいじめる/ 異性のきょうだいのいない子/ お下がりと子どもの不満/ やきもち/ 一人っ子/ 末っ子/ 中間の子/ 長男・長女/ 祖父母と子ども/ 家族としての意識の薄い子/ 子供部屋と家族のふれあい/ 難しい中学生との接し方/ 大学進学問題で親子の意見が対立したとき/ 義理の親子関係/ 離婚したときの子どもの扱い/

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