長男・長女

 二人兄弟の小学校五年生の長男のことで困っています。世間で長子のしっかり型、末っ子の甘え型と言いますが、長男は末っ子と同じようにしないと気に入らないのです。長男として兄弟の面倒をみるくらいのしっかりした性格、行動を持つよう育てたいのですが、どのようにしたらよいでしょうか。
 長男はしっかり型、末っ子は甘え型という一般論は、封建社会では、家の後継者という立場を幼い時から認めていることから出来てきたものだと思います。万事家制度の仕組みが社会全休にゆきわたっている時代ならともかく、今日のように万人平等の世の中で、長男のしっかり型を期待するというのは無理なようです。長男として、兄弟の面倒をみるということを気にされていますが、長男が兄弟の面倒をみるような時代でもないと思うのですがどうでしょうか。どだい兄弟などというものは、親のいるうちは、あまり助け合うなどという気持ちにならないものなのです。兄弟は競争して、親を求めるという状況におかれることが多いからです。
 ところが長男とか長女に生まれあわせた人たちは、まことに気の毒なことに、親の愛情を独占出来るのは、生まれてから、弟妹の誕生する短い間なのです。それに、弟妹との年がはなれていればともかく、あまり離れていないとすると、すぐに両親の関心と保護が弟妹の方に移ってしまうので、いわばつき離されたような状態におかれてしまうのです。
 つまりあなたが長男らしくやれと言えば言うほど、親の冷たさを感じてしまうという仕組みになるのです。小学校五年生といえども、まだ他人の面倒をみるような心境になってはいないのです。

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 長男が末っ子と同じようにしたがると言ってご不満のようですが、長男が末っ子を見て、実にうらやましいと思っている気持ちがわかっていないようです。長男も前には末っ子のようにかわいがったのにと言いたいのでしょうが、はじめての子に対する親の気持ちや態度は、末っ子に対するそれとは全く違うのです。どこが違うかと言えば、はじめての子は、親も育児になれず、手探ぐりで育てたという感じがあるのです。親は、不確実で、不安があり、神経質な気持ちをもっていることが多いようです。このような親の気持ちが何かというと長子の気持ちに反映してくるので、長子の場合は、親からくつろいで十分にかわいがられたという感じがもてないでいるのです。そこから何となく親に対して潜在的不満があり、親としては、長子をつき離して育てていくことから、長子に対しては、ややへだたりを感じていることが多いのです。そこで次の子や、末っ子に対して、育児の経験をつんだ親が安心してかわいがってあげられるのです。もちろん、末っ子も十分に甘えられるという状況になるのです。これを見ていて、長子の不満な気持ちが、末っ子をまねするという形で親を求めさせていくということに現れるのも当然すぎることと言わねばなりません。ですから少しこのことは大目にみてあげることを考えたほうがよいと思うのです。
 さりとて、いつまでも長男が甘えているというわけではありません。何しろ親以外に甘えるところもないわけです。日常の生活の仕組み自体が、何と言っても長男には厳しくなっているわけです。幼稚園に入ることも、学校に入ることも、何ごとも家の中でははじめての新しい経験なのですから、何かと緊張させられるわけです。また、兄弟は、家の中でこそ、兄弟げんかをするかも知れませんが、外にむかっては、やはり、長男、長女は弟妹の面倒をみてやらなければならないわけです。その点、親が「しっかりしろ」と激励しなくとも、しっかりせざるを得ない仕組みになっているわけです。
 昔はよく総領の甚六といって、家の後継ぎにすべき総領が困ったことに能力が無いと嘆く諺がありましたが、これは決して言葉どおりではないようです。一説によりますと、封建社会において圧倒的に有利だった財産継承者の総領が甚六(駄目)だったらよいという潜在したしっと心の現れとみるべきだと言うのです。事実は、決して総領が出来が悪いとは言えず、何かと、兄弟中で頼りにされていることが多いように感じられます。やはり幼い時から、新しい世界につき進んでいけるような境遇が与えられていましたし、更には、親の期待や他人からの有形無形の長子を尊重する気持ちがあって、結局はしっかりしていってしまうのです。
 さりとて、手放しで長子はよく育つというように受けとっては困ると思うのです。良い反面悪いこともあるということを知っておいて欲しいのです。今あなたが心配されているような、末っ子と同じように甘えたがるという点については、全くと言ってよいほど心配することはないと思うのです。心配して欲しいことは、先に述べた、親以外はこわい者無しという境遇にあるということなのです。おそらく長子の示している生活態度を広い視野で眺めてみますと、かなり自由に好きなことがやれていると思うのです。親はきょうだいは公平にと考えても、やはり長子は、何でも新しいものが手に入りますし、力も他の子にくらべて強いものですから、かなり好きなことが出来るわけです。そこで悪気がなくとも、他人に対して支配的になったり、あるいは、調和を欠いたりすることになりやすいわけです。この方が問題だと思います。ですから親として、少しずつ弟妹のことを考え、気をつかうように気を配ることをすすめて欲しいのです。あなたに甘えてくる今が、その一つのチャンスになっているとも思えます。
 出来るだけ甘えさせて、親子でよく気持ちを通じあえるようにしておけば、お子さんは、親であるあなたの言うことに耳を傾けてくれるはずです。

父親と母親の意見と態度の食い違い/ 父親の言うことはきくが母親の言うことはきかない/ 親の顔色をうかがう/ 親の言う事を聞かない/ 親を批判する/ 親と話をしたがらない/ 親を脅す子/ 注意するとすぐふくれる子/ 自分の物に人がさわると嫌がるときの扱い/ 口答えする/ 反抗期の子ども/ 兄弟への公平な接し方/ 兄弟げんか/ 弟や妹をいじめる/ 異性のきょうだいのいない子/ お下がりと子どもの不満/ やきもち/ 一人っ子/ 末っ子/ 中間の子/ 長男・長女/ 祖父母と子ども/ 家族としての意識の薄い子/ 子供部屋と家族のふれあい/ 難しい中学生との接し方/ 大学進学問題で親子の意見が対立したとき/ 義理の親子関係/ 離婚したときの子どもの扱い/

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