祖父母と子ども

 私の家族は祖父母と子ども二人の六人です。主人が忙しく不在がちで、私もパートで働いていますので、子どもにかまってやれる機会があまりありません。子どもたちも、主人や私になつかず、おじいちゃんやおばあちゃんに甘えてばかりいます。こうしたことは子どもの将来によくないと思いますが、どうしたらよいものでしようか。
 子どもたちが父母になつかず、祖父母のみになつくというのはどういうわけか、一度でもお考えになったことがありましょうか。まず冷静に家庭内の暮らしを朝から夜眠るまで見渡して、どんなことでもおじいさん、おばあさんに聞き、いつでも傍にいて、あなた方父母のもとには寄りつきもしないということなのかどうなのかを考えてみてください。決してそんなことではないと思うのです。しかしあなたがそう感じることは確かなのですから、いったいこのことが何からきているのかを考えてみることにしましょう。きっと今あなたは、分裂した気持ちをもっているのだと思います。つまりあなたのお子さん方に対して「親だからしっかり躾をしなければいけない」という気持ちと「何といっても子どもに信頼され、お互いに愛情をもちあって暮らしたいこという気持ちの二つの気持ちではないでしょうか。そしてお子さん方に対しては、あなたはどうしても、躾のほうを優先してしまうことになっているのだと思うのです。ところがおじいさんやおばあさんは、躾より、孫たちとの愛情第一という考え方で生活しているのではないかと思うのです。ですからどうしてもお子さんとしては、おじいさんたちの方に寄っていくことになっているのでしょう。これはたしかに、お子さん方の逃げ場になっていると思いますが、そうであっても決してあなたを無視しているわけでなく、これはあくまでも役割上の違いの現れなのです。ですから、あまりむきになってお考えになる必要のないことだと思います。

スポンサーリンク

 それでは、何故おじいさんやおばあさんが孫に対して優しくなってくるかというと、これは、父母とは違う立場にあるからです。つまり、祖父母は、もう子どもを育てあげてしまったので、育児の現役からは引退してしまっているわけです。そこには、かつて自分の子どもたちをしかりとばしていたような激しい気魂の生活がなくなってしまっているのです。いわば直接子どもを抱えこんで親として責任を全うしようとするような気概もなくなっていますし、また些細なことでムキになって叱りつけるほど孫と利害関係のある生活をしているわけではないのです。
 親のように、子どもが元気よく暴れていれば「うるさい」と叱り、おとなしくしていれば「どこか悪いのではないか」と心配するわけではなく、ある一定の距離をおいて孫と接触しているわけですから、全て余裕をもって対することが出来るのです。それに自分たちの過去のことはすっかり忘れてしまい、親 としてのわが子の育児をある一定の距離をおいて冷静に眺めることが出来るわけです。それに体も昔のように活発ではありませんし、世の中のことの大よその見当もついているので、あまり細かなことにこだわったり、焦ったりするようなこともなくなっているわけです。ですから、まあ育児については責任もなく、自分の気持ちのとおりに子どもたちをかわいがることが出来るという役割がとれるわけです。
 といえばいかにも割が悪いと言う感じもしないわけではありませんが、いいではないですか。
 おじいさん、おばあさんが、人生の終点にたどりついて、孫たちに囲まれて、毎日が優しい暖かな感情に包まれて暮らすことが出来るのですから、そしてこういう生活を創り出したあなたがたご夫婦も、実に大きな親孝行をしていることになるわけです。このような人間関係が、あなたがたの家庭にある限り、あなたがたも幸せではないでしょうか。もし逆におじいさんやおばあさんが、あなたに対して「躾が甘すぎるから、もっと厳しくしなさい」と毎日のように注文をつけるようだったらどんなものでしょうか。あなたは毎日イライラして暮らさなければならないと思います。このくらいでいいのです。もちろん前述したように、あなた方が親として、子どもたちと激しい感情を出しあって暮らしているということは、それはそれなりに大切なことだと思うのです。ただおじいさんやおばあさんが甘やかすからと言って、何も反動的に辛くするのもどうかと思います。親の激しさには、キチンとした理くつがなければならないし、事実無法なしかり方はしていないと思います。反動的な気持ちで叱りはじめると、子どもたちは親の考えがわからなくなってしまうのです。そしてその親の感情に対して、反発し、お互いに疎遠になってしまうから恐いのです。この点祖父母の経験深い人生観とか人間観をよく学ぶ態度で、のぞんでみることでしょう。
 最後にこれからの生活態度についてアドバイスとして、そ れは、子どもたちの祖父母に対する気持ちを大切にするということです。子どもたちが祖父母を大切にするという気持ちが出来るまでに、きっとたくさんの良い思い出があると思うのです。例えば子どもたちが大切にしている自分のプライドをよく認めているとか、あるいは動物や草本等についての知識が豊かであるとか、必ずそこにはたくさんの具体的な事実があると思うのです。そこでむしろ積極的に、お子さんがたから、このような事実をきき出すようにつとめたらいかがでしょうか。それには 共感を感じない親はいないと思うのです。親が親から数々のことを学ぼうという姿勢は、一生続けられてしかるべきではないでしょうか。そして大切なことは、このようにつとめるあなたの姿を、あなたのお子さんがたがしっかり見つめているということです。このように親が、そのまた親を大切にするという気持ちを表すことは、何よりも良い人間としての躾ではないでしょうか。いたずらに行動上のきまりを守らせることだけが良い躾ではないはずです。そして、お子さんがたに対して、不満があってしかりたくなった時にも、ふだんの家の中の人たちの優しさがある以上は、我を忘れるような不法な態度はとれなくなると思うのです。

父親と母親の意見と態度の食い違い/ 父親の言うことはきくが母親の言うことはきかない/ 親の顔色をうかがう/ 親の言う事を聞かない/ 親を批判する/ 親と話をしたがらない/ 親を脅す子/ 注意するとすぐふくれる子/ 自分の物に人がさわると嫌がるときの扱い/ 口答えする/ 反抗期の子ども/ 兄弟への公平な接し方/ 兄弟げんか/ 弟や妹をいじめる/ 異性のきょうだいのいない子/ お下がりと子どもの不満/ やきもち/ 一人っ子/ 末っ子/ 中間の子/ 長男・長女/ 祖父母と子ども/ 家族としての意識の薄い子/ 子供部屋と家族のふれあい/ 難しい中学生との接し方/ 大学進学問題で親子の意見が対立したとき/ 義理の親子関係/ 離婚したときの子どもの扱い/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク