子供部屋と家族のふれあい

 学校三年生になる男の子ですが、多くの友だちは、自分だけの部屋をもっているようで、うちの子も欲しいといいます。自分だけの部屋をもっと、親がその部屋に入るのを嫌がるということも聞きますし、自分の部屋にとじこもってしまって、家族とのふれ合いが少なくなるような気もしますが、どんなものでしようか。
 たとえ小学生でも、幼児とは違って、自分の物を置く場所が欲しくなるし、また、たまには親と顔をあわせずに一人でとじこもっていたいという気持ちがおきてくるものです。それが悪いとは言えません。もしそれで、子どもが自分から離れていってしまうように感じている親でしたら何をか言わんやで、そのことこそ問題だと言えるのです。一人の人間として親ばなれしていくのですから、理屈から言えば、よくこそ成長してくれたと喜ぶべきなのです。それは無理でも、子どもの自然な自己主張は認めていくようにして欲しいと思うのです。小学校三年生ともなれば、幼児とは違って友だち仲間との交流の活発な時期です。お子さんの態度は、家庭の中で育つものばかりでなく、外の世界からもち込まれてくるものも多いと思うのです。ですから、自分の部屋が欲しいと言っても、まだこのころは、形だけの自分の部屋を求めているのかも知れません。ただ家の事情で、子ども部屋が作れないのに無理しても作ってやる方がよいというのではありません。部屋が作れない時には、部屋のコーナーに机や物入れをおいてやってもよいし、そこを何かで囲ってやってもよいと思うのです。要するに、自分の場所を持ちたいという気持ちを抑えつけないと言うことで、子ども部屋を与えたからと言って、一日中そこに入っているということは決してないと思うのです。そこが、まだ幼いところで、いつしか、ほとんどまた、茶の間に戻ってきてしまうことになるのです。

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 すぐにもとに戻ってしまうようなら、何も子ども部屋を作ってやらなくともよいとお考えになるかも知れませんが、ここが大切なところなのです。親が自分の主張を受け入れてくれたということが大切なことなのです。だから自分の部屋に入っていないからと言って子どもに叱るという親がいたら、それこそ愚かなことだと言うべきでしょう。むしろそれを当たり前のこととして受けとめて欲しいと思うのです。よく子どもに勉強机と称して、いろいろと立派な道具のそろったものを与えたり、勉強部屋だからと言って、大人のように本棚を入れて、一切の玩具を入れさせなかったりという偏った考えをもっている例をききますが、そこに親としての一貫した子どもに対する考え方が認められないことが問題だと思うのです。親が子どもに部屋を与えて隔離したからと言って、子どもがよく勉強するものでもないのです。子どもによっていろいろな経路を経て自分の部屋の中に籠ることをおぼえ、そこで仕事をするようになっていくのです。中には、大人になっても自分の部屋に入っていられない人もいるはずです。ただ誰もが自分専有の物とか、そのおき場を求めているわけです。そしてそれらを他人にさわらせたくないという気持ちを早くから持っているものですから、このようなお子さんの気持ちは、一つ尊重するようにしてやって欲しいと思うのです。要するに親が考える子ども部屋とは、隔離するためのものであり、親はなれは、子どもからの表現をうけて応じて考えることでよいと思うのです。
 したがって、子ども部屋を与えることによって、子どもは、親から離れた自分の心の一部が公認されたことになったわけです。そこから新しい子どもの自我の生活がめばえてくるわけです。これに関しては、先述したように、親のイメージによって先ばしった子ども部屋にしないように気をつけることが大切だと思うのです。例えば、子ども部屋を勉強部屋と考えて、そこへ子どもを無理やり追い込んでしまうということは、子どもを完全に勉強嫌いにしてしまうことになりますし、また逆に子ども部屋に、テレビ等を備えつけることでそ子どもの生活を野放図に、無統制のままうちすててしまうことになるのです。もし子ども部屋を、子どもの生活の一つの拠点として考えるならば、 子どもと話しあって約束ごとをしてみたらどうでしょうか。テレビはもちこまないとか、絶対に火を使わないとか、掃除をするとか、要するに自分で考えて暮らすことを尊重するという親の姿勢を貫くことです。よく問題になるマンガ本、玩具の取扱いですが、これを子ども部屋におかなければ、くつろいで部屋にいる意味がなくなってしまうことになるのです。要するに子ども部屋は、決して勉強部屋ではなく、子どものくつろいで自分の興味を満足させる部屋であって欲しいと思うのです。そしてまず自分の拠点が出来た子どもは、そこで、自分がしなければならない宿題などを少しずつやりはじめていくことになるのです。
 子ども部屋を作ったからと言って、決して家族とのふれあいが乏しくなるというものでないことは、既に述べたことです。むしろ逆に子ども部屋の中に子どもがいつくようになることに時間がかかるのではないでしょうか。例えば、これが欧米のようにわが国と子どもの躾方が異なっている国でしたら、子どもの部屋があって、そこで子どもが自由な生活をすることが当然と考えられています。わが国では、いわゆる囲炉裏の囲りの団らんという美しい風習があり、皆がそれを大切にしていると思うのです。これは極めて大切なことだと思うのです。それゆえあなたも、その心配をされているのだと思うのです。ですが、このことは放っておいても普通の親のいる家庭では、かなり濃密なふれあいがあると思うのです。むしろ心配することは、せっかくの子ども部屋を親が子どもの気持ちを考えることなく、親の自由にしてしまうことではないでしょうか。このことの方が、実は問題なのです。家族のだんらんは、いつも顔をあわしているということではなく、お互いが信頼しあって、暖かな気持ちで接しているということなのですから、たとえ子ども部屋を作ろうとも、前から続いている親子関係が安定していさえすれば、何の心配もいらないのです。
 でももし、子ども部屋を作ることで、親と子が相互に不信感をもちあうようになるのでしたら、なまじ子ども部屋など作らないことです。

父親と母親の意見と態度の食い違い/ 父親の言うことはきくが母親の言うことはきかない/ 親の顔色をうかがう/ 親の言う事を聞かない/ 親を批判する/ 親と話をしたがらない/ 親を脅す子/ 注意するとすぐふくれる子/ 自分の物に人がさわると嫌がるときの扱い/ 口答えする/ 反抗期の子ども/ 兄弟への公平な接し方/ 兄弟げんか/ 弟や妹をいじめる/ 異性のきょうだいのいない子/ お下がりと子どもの不満/ やきもち/ 一人っ子/ 末っ子/ 中間の子/ 長男・長女/ 祖父母と子ども/ 家族としての意識の薄い子/ 子供部屋と家族のふれあい/ 難しい中学生との接し方/ 大学進学問題で親子の意見が対立したとき/ 義理の親子関係/ 離婚したときの子どもの扱い/

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