知能とは

 六歳の幼稚園児ですが、知能指数が九〇しかありません。来年には、小学校に入学するわけですが、知能指数が低いと、学校の授業にちゃんとついていけるかどう かとても心配です。少しでも、賢い子にするために、何かよい方法はあるでしようか。
 お子さんの知能指数が九〇ということは低いとは言えません。普通と考えるのが正しい見方です。
 普通という意味は、全体の子どもの半数近くが含まれますので、心配無用というわけです。学校に入ってついていかれないという心配はいりません。
 なお、知能指数は数字であらわされるために、身長や体重などと同じように見られやすいのですが、それは誤りです。大体のめやすと考えるとよいのです。
 といいますのは、問題をやらせてそれを元にして算出するわけですから、子どもの能力が完全にすべて発揮されたかどうかが正確に身長や体重のようには測られないからです。
 ですから、出てきた数値は、本人の持っている能力の最低限と思えばよいのです。もっと発揮されずに残っているものがある可能性があるのです。

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 知能というのは、精神的なエネルギーと考えてよいのですから、それは活動させ、発揮させて使うことが大切です。使わない鉄がさびるように、知能は使わないと伸びません。体でも運動させ、活動させることが体力増進になるのと同じです。
 しかし、たんに使うというだけではハッキリしません。どのように、どこに使わせるかが問題です。そこで、知能という精神的なエネルギーを活動させ、発揮させる手段や方法を考えねばなりません。
 その前に、知能という精神的エネルギーを物理的な子エネルギーである電気になぞらえてみるとよいでしょう。電気は正体のつかみにくい、目に見えないものですが、それはいろいろな作用をします。
 たとえば、電波、磁気、モーターの回転、電気分解、光、熱など、様々な形であらわれます。その源はすべて電気ですが、電気そのものは目に見えません。
 知能という精神的エネルギーもそれとよく似ています。知能そのものはどんなものかよく見えませんが、それが働いていろいろなことをするので、その存在がわかるのです。
 知能が発揮される媒体あるいは通路には大きく分けて次の三種類があります。
 (1) 観念、言語を通して - 抽象的知能
 (2) 物、道具を通して - 具体的知能
 (3) 人、対人関係を通して - 社会的知能
 第一の抽象的な知能は、聞く、話す、読む、書くなどの言語を媒介にして発揮されますので、人の話をよく聞いたり、自分の考えを話したり、本を読んだり、文章を書いたりということを沢山すると、抽象的な知能面が伸びます。
 この面の知能は国語、社会、算数、理科などの抽象教科といわれる勉強の面によく使われるのです。抽象的に頭の中の観念だけで思考するとき、この知能 がよく使われます。
 ですから逆にいえば、この面の知能を伸ばすには、言語の訓練と抽象的教科の学習が役に立つわけです。
 第二の具体的知能は、視覚そ の他の感覚を通し、手や体を使うことによって、物や道具を使う生活を豊かにすると伸びます。たとえば、子どもが自分で身のまわりのことをひとりですることや、玩具や道具を使う経験をもつとか、図画工作やスポーツその他身体を自分の思うように使って、物を作るとか、機械を操作する経験を多くもつことによって伸びます。
 特に、注意深く観察するとか、道具や機械の組立てや使い方に習熟することが大切で、その際頭を使うのがよいのです。ですから便利な完成品では、子どもの知能を使わなくてすむので教育的とはいかれません。
 幼児期や低学年の時には、車によく注意して交通事故を防ぐのも知能の訓練になりますし、電動式の鉛筆削りを使わずに、小刀で削ることも具体的知能を伸ばすのに役立ちます。その他、家の中のお手伝いをすることも、すべて生活能力という知能を伸ばすことになります。ですから何でも親が考えて親がしてやるという過保護的な育て方では、子どもの具体的知能は伸びません。
 ですから、子どもが困って考えたり工夫しなければどうしようもない場面に追いこんでやり、少しずつ自分でできるように導くのが知能を伸ばすことになります。
 第三の社会的知能は、親や教師などのおとなとの接触によっていろいろな人間の心の動きや習慣や慣習を身につけることで伸びます。
 また、近隣社会の生活経験を豊かにすることによって社会的な常識を身につけることによって伸びます。
 そして特に大切なのは、同年令の子どもとの遊びや生活を多く経験することが大切です。友だちとの人間関係によって、人の心の動きを知り、自分の思うようにならない経験、つまり気苦労を経験することによって、社会的知能が伸びます。
 はじめは家庭、近隣で少人数の友だちとの人間関係を学び、次第に大きいグループの中に入れてやるとよいのです。そのために、保育所や幼稚園を利用するわけです。集団生活にとけこんでみんなと集団生活を楽しん だり、いろいろ思うようにならない経験などを通して、対人関係の知恵が伸びていき、その社会性の発達に乗って社会的知能が伸びるわけです。
 以上、知能について三つの種類、三つの側面について述べましたが、これら三つはすべて知能であることを忘れないようにしましょう。学校教育では第一の抽象的な知能の訓練にウエイトがおかれがちですが、それだけでは充分ではないのです。将未おとなになった時に、ほんとうの実力となる知能は、三つの領域がバランスがとれた時に望まれるのです。

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