文字教育

 六歳になる次男は、文字を覚えるのが遅く、まだ、ひらがなの全部を書くことができません。長男は、六歳ごろ、既にひらがな、カタカナを全部覚えており、簡単な漢字まで書き始めているほどでした。それに比べると、弟の方は字を覚えるのが格段に遅く、いつになったら、ちゃんと読み書きできるようになるか心配です。早く文字を覚えさせるのに、何か良い方法はないでしようか。
 お子さんの字を読んだり書いたりの速度が遅いということがご心配の中心点のようにうかがわれます。お兄ちゃんと比べて遅いこと、一般の子どもたちの平均と比べて遅いということが問題にされている点です。
 子どもの教育を考えるとき、同年の子どもと比べてとか、クラスの子どもたちと比べてというように、比較ということがとかく一番の問題のように思われがちです。皆と一緒にとか、皆についていくようにということが大切でないというのではありませんが、皆と同じにということだけに目を向け、それだけを親として考えていることは、家庭教育という観点からしますと、それは問題といってよいのです。
 学校の先生は、多くの子どもたちに一斉授業をすすめる立場にあるため、とかく全員一緒に、全員同じスピードでということを重視しがちですが、親の行う家庭教育では、その子ひとりを見つめ、その子のペースを認め、その子の能力、適性、個性を第一に尊重するという決意をもっていないと、遅れがちな子どもの劣等感を深めたり、学習に対する嫌悪感を強める結果となり、逆効果になる恐れがあります。
 ですから、早く字を覚えさせることだけ考えるのでなく、 この子なりに、ゆっくり、マイペースで字を覚えるように、字を覚えることが苦しみでなく、楽しみになるように指導しないといけないのです。
 文字を手段として、道具として使いこなすことが大切で、文字を覚えることを目的にして覚えさせようとすると、どうしても子どものペースを無視して、大人のペース、大人の要求が前面に出ます。子どものペースに合わせてこそ、文字が道具となり、武器となることをじっくり考えて、次のような方法を実行してみてください。

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 話し言葉を盛んに。文字を読んだり書いたりするのは、言語活動の花と実のようなものですから、その土台としての葉と木になぞらえられる聞くと話すをよく育てないといけません。そこで親と子の対話を多くすること、親の言葉を聞いて理解し、自分の意思をうまく伝える練習、生活を充実させましょう。
 実物、話し言葉、文字を結びつける。あ、い、う、え、おというように、文字を断片的に覚えさせてから、これを組み立てるような教え方よりも、実物、または絵をみせながらそれを発音してやり、それと同時に単語をみせるやり方をしましょう。例えば、魚の絵をみせながら、「さかな」と発音し、「さかな」と書いた単語をみせます。その時「さ」「か」「な」というように一語ずつ切るのでなく、全体としての「さかな」を一つの図形のようなかたまりとして見せて発音するのです。絵単語や文字積木などを利用する場合も、覚えさせるというより、見て馴らせるのです。
 全休から部分へ。単語を全体として、かたまりとして読むことがすんだら、次は部分の文字にはいるのですが、それも、「ねこ」の「こ」とか「りんご」の「り」というように、全休と結びつけてやるようにします。部分から全休を組み合わせるのでなく、全体から部分へはいるのです。
 遊びや生活と結びつける。文字の学習は楽しく、遊びの中でやらせるのが理想的です。おもしろくないかたくるしいお勉強というスタイルはよくありません。昔の子どもは、「へのへのもへの」といいながら人の顔をかいて遊んだものです。
 また、身近なものや生活上必要なものからはじめるのがよいのです。好きな食物や動物、その他自分の名前とか持ち物などマークのかわりに文字を入れるのもよい方法です。
 線、形、絵を描くこと。自分の思ったものの形が描けるということが文字を書く前の段階として必要です。つまり、自分の手を自由に自分の思うようにコントロールできることが土台です。
そこで、直線からはじめます。上から下、下から上、右から左、左から右、ななめに上下両方向というように直線をかく練習が大切です。それも雨が降るとかランニングのコースなどと遊びや生活と結びつけます。次は曲線です。一定のワクの中でボールをころがす遊びとして円をかかせます。卵、りんごなど描くのもよいのです。
 お習字の手本のように、大きく書いてある文字を指で順になどっていく遊びもよいでしょう。文字の構造や筆順をはじめからやかましくいわず、全体の形をよく見たり、それをなぞることで指のコントロールを学ばせればよいのです。
 例えば、川という字は川の流れの形からつくったもの、山という字は三つの峯の山の形からきたといったようなことから、文字の起源について知ることができ、文字本来のなりたちを学ぶことができます。ひらがな、かたかなも同様です。英語の文字なども、記号、模様、図形というとらえ方で扱います。
 つまり、文字はすべて道具であり、便利な記号であることを視覚的に知らせてやり、それは必要から生まれた産物であることを知らせてやりたいのです。既に出来上っているものとしてでなく、必要に応じて作られてきたものという感じをもたせましょう。
 絵をかくことを楽しみ、文字を書くことを楽しむ雰囲気で文字を書くことが、はじめの段階で必要です。

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