数の教育

 四歳になる長女は、今、十ぐらいまでの数しか数えることができません。しかも、ときどき数え間違いをします。近所の同じ年ごろのお子さんの中には、五十ぐらいまでスラスラ数えられる女の子もいます。うちの娘は、物覚えが悪いのでしようか。もっと大きな数まで数えられるようにするためには、どのように教えればよいのでしようか。
 四歳ぐらいの子どもが、数を数えることが、十であろうと五十であるうと、それは大した差と考える必要はないのです。
1、2、3、4、5、・・・というようにロで暗誦したり、積木やオハジキを手で順に触れて数えていくのは、それは子どもが言葉を覚えているのと似ています。あるいは歌を覚えているのとよく似ているのです。
 リズムに合わせて数を唱えられるということと、数の概念が理解できることとは全く異なることと考えてよいのです。近所の子どもが五十まで数えられたからといって、それは数概念の理解とは別ですから、お宅のお子さんが特に遅れていると心配するのは早すぎます。
 また、もっと大きい数まで、例えば五十まで百までとお望みかもしれませんが、それは質的な進歩を示すものではないのですから、いまそのことだけ気にする必要はないのです。
 この年ごろの子どもで、五十まで調子よく数えられる子どもでも「十二と十四とどっちが多い」と聞くと、わかってはいないのです。お宅のお子さんとその点では全く同じと考えてよいのです。
 しかし、数えごっこのようなことを、折にふれて楽しくやってみるのは結構です。お風呂から上がるとき、もういくつ数えたら出るというようなこと、あめ玉がいくつあるかなといって数えてみる遊びを親子でしてみることはよいでしょう。
 しかし、正しいとか間違えたとかいうことは気にしないことです。言葉を覚えるとき、一つずつ訂正して正確にいわせようとしますと、しゃべらなくなるように、数を数えるとき誤りを意識させるのは上手な指導法とはいえないのです。ただ楽しく遊びとしてやるだけでよいのです。

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 子どもが数概念をもつということは、数のもつ特徴や本質がわかることですから、数を唱えることと必ずしも一致しないのです。ですから、単に数を数える作業だけ機械的にやらせてみても、それでは数概念は養われません。
 数概念のはじまりは、大小の区別、多少の判別といった量の認識、量の違いがわかることです。それを土台にして、順次に数というものに分かれていくのです。全体の量の大小から数の多少へとすすんでいき、分化していくのです。
 ですから、次のような経験を積んでいくことが大切です。例えば、あめ玉の多く入っているお皿と、少し入っているお皿とを並べて「どっちがほしい」と聞いてみましょう。もし多い少ないの区別がつかないなら、教を教えてみても意味はないのです。教を教える姿勢でなく、子どもの量や教に対する理解度をさぐることが先決です。
 そして、いつも具体的なものを見たり、手に触れる経験をさせることが、数概念の基礎づくりとして大切です。「ママの指とよっちゃんの指と、どっちが多いかな」などといって、その違いに子どもが興味を示したら、まず両手をひらいて、全休の量を一目でみて考えさせます。それから数えてみて同じという体験をさせるのです。
 その次の段階では、同形の積木をならべて、その数をかたまりごとに数えてみる経験をさせるとよいでしょう。そしてAは一つ、Bは二つ、Cは三つというように、量の違いを視覚に訴えてよく見せるのです。その時数を数えるという作業が伴奏のように耳からはいるとか、指の動きで示されると、自然に数概念が身についていくでしょう。
 幼児にとっては、文字も教もともに抽象的でわかりにくく、 興味をもちにくいのですから、文字教育、数字教育をあせることは禁物です。
 子どもに必要悪も関心もないのに、これを教えこもうとすることは、かえって失敗のもとです。そこで、自然な教育として、生活学習が大切です。つまり日常の生活の中で、数と結びつく数生活があるはずですから、それをうまく取り入れることが効果的です。
 子どもは親の生活の様子については大いに興味をもっています。そこでその心理をうまく利用して、親と子の共同生活学習をすすめましょう。
 例えば、お札の数え方の手つきに興味をひき、まねをしたくなったらやらせてみるのです。目方や量の測量器をいじらせてやるのです。時計やテレビのチャンネル、カレンダーの日付というように、まわりに数生活の材料が無限にあるのですから、それを子どもにも経験させてやるのです。
 買物やおつかいでは、品物の量や数だけでなく、お金を使う機会がありますので、お金という具体的な材料で自然に数生活を体験させることができます。
 このように、教、特に数字を抜き出して、それだけを教えるといったやり方は禁物です。そのことは、読書好きにするのに、文字を教えることを優先することが下手な指導法であるのと同じです。
 数字は大人にとっては便利なものですし役に立つものであることはたしかです。しかし、幼児にとっては、数字は無意味なものですから、それから教えるというのは、子どもには迷惑千万なことです。
 数の教育は、具体物により、子どもの興味や必要性に即して、日常生活を通じての数生活体験を重視しましょう。

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