外国語教育

 小学校二年生の娘は、声を出して本を読むことがとても上手です。言葉を覚えるのもずいぶん早かった方ですし、読み書きも得意な娘をみていると、ふと、英語を習わせてみようかという気持になります。娘の方も、英語を習いたいといっています。小学校二年生では、外国語の勉強をさせるにはまだ早いでしょうか。
 あなたが小学校二年生のお子さんに英話を習わしてみたいとお考えになった理由は、お子さんが本好きで、読み書きが得意ということのようです。
 そうすると、あなたの考えていらっしやる英語教育は、英語の読み書きを中心とするものと思われます。英語の文字が読めたり書けたりするという、いわゆる読み書きそろばん式の考え方が、あなたの頭におありのようです。
 それは無理からぬことです。といいますのは、日本の外国語教育は明治以来百年間も、そういうやり方でやってきたのです し、いまも中学、高校、大学と、その伝統を受け継いでやっているわけですから。しかし、日本語にしても外国語にしても、言語というものは、聞く、話す、読む、書くという順序で子どもは覚えていくものです。日本語の場合は、生まれた瞬間から親や周囲の人の言葉を耳にしている間に自然に覚えたのですが、これは自然の教育、自然の学習です。小学校入学までには、聞くことと話すことは大体完成した状態となりますので、そこで読み、書きにウエイトをおいた国語教育がはじまってもスムーズに学習がすすめられます。

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 それが外国語の場合はどうでしょうか。言語の基礎であり土台である聞く、話すがなくて、いきなり文字教育から入り、文法、作文などという具合にすすめられます。そこで単語から文章へと読解力中心に語学の学習がすすみますので、いつまでやっても、聞いたり話したりすることのできない外国語です。
 もし、あなたの考えていらっしゃる英語教育がこのようなものであるとすると、それは中学生になって習うことを先取りして小学校二年生で早期教育をすることになります。そんなに先を急いでみても仕方がないように思います。ですから、そのような外国語教育だったら二年生ではじめるのは早いといってよいでしょう。
 しかし、もっと別の外国語教育、ほんとうの外国語教育というものがあります。それは赤ん坊の時からやった自然学習、つまり聞くことからはじめ、話すことに移っていく、正しい順序をふむ外国語教育です。
 この方法なら、小学校二年生で早すぎるということはないのです。赤ん坊からはじめることさえできるのです。しかし、実際問題として、日本人の子どもは、まず日本語を覚えることが先決ですから、三、四歳までは二か国語教育はしないほうがよいでしょう。
 四歳か五歳くらいになって、日本語の聞くこと、話すことが確立したら、外国語を習いはじめてもよいのですが、その場合の外国語教育は、聞くこと、話すことに中心をおくのです。日本の文学が読んだり書いたりできる小学生や中学生の場合でも、聞くこと、話すことを中心にしてはじめるのがよい教育法です。
 そうなりますと、先生としては外国語を上手に自然に話してくれる人でなければなりません。読み書きはできても不自然な発音の人は、初歩の先生としては 失格ということになります。教員免許証はなくても、外国語を自然にしゃべれるお母さん、近隣の人、特に外国人が見つかれば当分はそれがよい先生といえます。
 ですから、二年生の子どもに外国語を習わせるなら、正しい役に立つ生きた外国語を耳から学べる機会をみつけてやらなければなりません。これはなかなか難しいことですから簡単にいきません。先生探しが問題ですが、もっともよい先生は、同じ年頃の外国人の友だちです。子ども同士で遊んでいますと自然に話し言葉が身につきます。
 外国語を学ぶ最良の方法は、その言葉が使われている国で暮らすことであるといわれています。日本語が通じない外国で生活してみますと、非常に早く、正しく、実用的な外国語が学べます。学ぶといっても身につくのです。
 例えば、幼稚園や小学生ぐらいの年令ですと、外国の幼稚園や小学校に転校した子は、一年 もすると話しはぺらぺらになります。その学習能力、適応能力は、とても親がかなわないくらいです。
 イギリスから来て日本の幼稚園にはいった子が、四か月で日本語の片言をしやべっていましたし、三歳半のアメリカ人の女の子は、日本の幼稚園入園半年で、日本語がぺらぺらで、両親は家庭教師について日本語会話の勉強をしていましたが、子どもと太刀打ちできませんでした。
 そんなわけですから、日本で外国語を学ばせることには、かなり難しい条件があるということです。また、あまり効果を急がないことが肝要です。耳を馴らすことに重点をおくことが大切で、単語をいくつ覚えたなどに目を向けないことです。
 このように、小学生の外国語教育については多くの困難な問題がありますので、ピアノを習ったり、絵を習うような風にはいかないことがよくおわかりになったと思います。
 ですから、二年生の子に外国語を学ばせる理想的な条件が身近に人手できるなら、はじめられて結構と申し上げたいのです。もしそのような条件が入手できにくいのだったら、いま急いで中学校の英語教育の先取りなどはやめたほうがよいと思います。
 外国語の学習で、聞くこと、話すことの大切さを強調しましたが、誤解をさけるため二言つけ加えますと、読み、書きがどうでもよいということではありません。やはり読んだり書いたりがなくては、完全な外国語学習にはなりません。
 ただ、学習の順序を逆にしてはいけないということ、学問としての外国語だけで、実用性のない外国語は、これからの国際社会で活用できないのでやってもロスが多いということです。

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