絵本の与え方

 息子は、もうじき四歳になります。夜寝る前に、私がおとぎ話などしてやると喜ぶので、最近、童話の絵本を五冊ほど買って与えてみました。しかし、絵本をみることには興味がないらしく、全くみようとしません。どうすれば、せっかく買った絵本を読んでくれるようになるでしようか。
 童話の絵本を買ってやることはよいことですが、それを与えっぱなしでは子どもが興味を示すとはかぎりません。
 絵本の絵だけみて、これは何とか、これは何しているんだろうなどと、絵そのものに興味をもつのは、一、二歳台ですが、それでも親が説明してやったり、お話を読んでやることが大切です。三、四歳にもなると、もう少し長いお話とか話の筋などに関心が向いてきますから、どうしても親が読んでやる必要性が増してきます。
 ですから、与えっぱなしでなく、お母さんが絵本と子どもとの橋わたしをしてくださることが必要なのです。お母さんが興味をもって、子どもと一緒にみたり、読んでやったりすることで、子どもの絵本や童話への関心が高められるからです。
 そして、できればどれか一冊、子どもの大好きな絵本、お気に入りの絵本ができると一層よいでしょう。いっぺんに五冊買って与えるよりも、一冊ずつ、熟 読するように、何度も読んでやって味わう経験をさせると、お気に入りの本ができます。
 子どもは何べんでも同じ絵本を読んでくれとせがむようになります。そこが親の我慢のしどころで、「同じ話は何べん読んでも同じよ」などというやぼなことをいわず、子どもの求めに応じて、何度でも繰りかえして一緒に読んでやり、終には子どもが暗誦して、子どものほうからお話をしてくれるようになると大変結構です。
 親のほうからすれば、一種類だけでなく、あれもこれも読ませたいと思うのが人情ですが、大人と子どもの心理のちがいを理解して、子どもに合わせるのが上手な導き方です。急がず、一冊をマスターすること、そのお母さんの橋わたしが大切なのです。

スポンサーリンク

 お母さんが子どもと絵本の橋わたしをするのは、単に読んでやることだけではないのです。絵本に出てくる主要人物について、また背景に描かれている山や川、家や畑、町の様子なども材料に使って、話題をひろげていくとおもしろくなります。
 そういう親と子のお話を通じて、お母さんと子どもとの愛情の絆も強まり、親子の親密感が深まり、子どもの幸福感が強化されます。そして子どもがいろいろの感想や考えていること、体験や思い出などを話していくうちに、子どもの言葉の発達にも役立ち、また社会や近隣について学ぶことも多くなります。
 このように、絵本の与え方は、単に絵本に書いてあるお話を子どもに教えるとか学ばせるだけでなく、それを材料にして親と子の話題を発展させるのがよい利用法ということになります。
 ですから、名作や童話などによって、心の糧となるような、いわば文学的な物語りの有効さだけでなく、絵本を媒体にして親と子の語らいや、子どもの心の表現がなされることが絵本の上手な活用法となります。
 単にストーリーを読んでやるだけでなく、絵を隅々までよく観察することによって、子どもの、観察力や表現力を育てることができます。そのため、絵本は必ずしも文学的作品にかぎらず、いろいろな内容を盛ってあるものも大いに価値があるのです。
 例えば、文字のない絵本のようなものも面白いとおもいます。子どもが自分でよく見て、それについて独自の見方や解釈をしたり、それから想像、連想などを通じて自由に自己を表現することができます。
 このように、絵本を媒介にして子どもが自分の考えや感情を述べ、新しい物語などを創造する経験をもつことができれば、絵本の無限の活用が期待できます。
 このような絵本の利用がさらに高まりますと、ついには親と子で手づくり絵本を発刊する作業にまで発展することでしょう。
 画用紙に自由に自分で絵をかき、作りたいお話を考えてすきなストーリーを構成してよいのです。また、身のまわりの食物や家庭内の台所用品、その他自動車や電車などを登場させて、生活絵本のようなものを作るのも楽しみです。
 とくに子どもの大好きな動物を中心にした動物絵本や動物物語り絵本などを作るのは、このうえなく楽しいことでしょう。絵本といっても、必ずしも絵だけにこだわることなく、写真をはったり、押し花やカードなどをはりつけたりすることもよいでしょう。
 また、アルバムづくりのような作業に発展してもよいのです。つまり図画や工作的なものに絵本づくりから発展していくと、子どものおもちやづくりにまでひろがります。このような、子どもの創造、造形、美術など、総合的な活動へ導く土台が絵本づくりのもつ発展性といってよいのです。
 このように、絵本でも童話でも、それを受身的に子どもに与 えるだけでなく、それを媒介にして、積極的に子どもの心が働きかけて創造的活動にまで発展していくとき、絵本の楽しさは本格的となります。
 ですから、絵本から読書へという進展のコースと、絵本から創造活動へというコースの二つがあるといえます。前者は子どもが心の栄養を吸収する方向、後者はそれを土台にして子どものエネルギーの表現や創造へと向かうものです。
 このいずれに向かうにしても、幼児期にお母さんが果たす役割は非常に大きいのです。子どもに与えっぱなしの絵本は、いくら多くてもあまり意味をもちません。じっくり一冊の絵本と取り組み、その後の子どもの自発的興味から冊数が増えることが望ましいのです。

言葉の遅れている子/ 吃音のある子/ 学校や友だちのことを話さない子/ 知能とは/ 才能を伸ばすには/ 適正を見つけるには/ 思考力を育てるには/ 文字教育/ 数の教育/ 外国語教育/ おもちゃの選び方/ 絵本の与え方/ 読書好きにするには/ 本を読みたがらない子/ 難しい本を多く読む子/ 年齢よりも幼稚な遊びをする子/ マンガばかり好きな子/ 絵を描きたがらない子/ ピアノのレッスンを嫌がる子/ 音痴な子/ がらくたを集める子/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク