絵を描きたがらない子

 小学校一年生のうちの息子は、絵を描くことをいやがります。幼稚園のときもそうでしたが、学校でも、「お絵かきの時間が、いちばん嫌いだ」といっているそうです。絵が得意になるように、家で練習させようとしてもいうことをきかず、困っています。どのようにすれば、喜んで絵を描くようになるでしようか。
 子どもに、絵を描きなさいという催促をしたり注文を出したりするのは、逆効果なのです。どのような言い方でも、絵を描かせようという気持がこちらにあり、子どもが絵を描かされると感じたときには、描きたくなくなるのです。
 つまり、絵を描きたくなる気持にさせることが先決で、その気にならないのに絵を描くという行動だけ望んでも、それは効果はないということです。
 絵を描くというのは、心の中の感じや気持を表現したくなってかくものなのです。それは歌を歌うのでもそうですし、踊りを踊るのもそうです。歩く場合でも、どこかに行く目的が心の中になければ、ただ歩きなさいといわれても歩けるものではありません。
 お子さんは、これまで、絵を描きたいという気持がおこる前に、描きなさいといわれる経験をしてきたのでしょう。幼稚園でもそういう経験をしてきたために、ついにお絵かきの時間 が嫌いになったのでしょう。
 また、絵が得意になるようにと、お母さんが望んで練習させようと考えていらっしやるようですが、それはお絵かきの技術のことを念頭においておられるからです。しかし、幼い子の絵は、上手とか下手とかいった技能や技術のことは抜きにしないといけないのです。
 絵の技能をみて上手とか下手とかいわれると、それにこだわりの心が生ずるので、手も心もちぢんでしまい、自由な表現の意欲をそがれるのです。そのために描かない子、描くのが嫌いな子ができ上がるのです。

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 子どもは誰でも心を、言葉、表情、態度、歌、おどり、絵画、制作などを通して表現したい気持を心の奥に抱いているのです。それをしない子は、催促や強制あるいは、技術について批判されて心が萎縮したためです。
 ですから、絵を描かせようとしたり、絵を練習させようといった考えは捨てて、しばらく絵のことは口に出さないことです。
 そのかわり、子どもの心に感動がおこったとき、それをひき出すことに努めましょう。感動とは感情が動くこと、つまり、おもしろいとか、うれしいとかいった気持に注目して、その感情に親の心の波長を合わせるのです。
 また、きれいなバラの花をみ て、お母さんが、きれいだねと感動を表現してみせ、子どもも、きれいだねと同じ感動を味わう経験が必要です。そして、「その真っ赤な色は、どんな色のクレヨンを使えばよいかしら」といったことから、バラの色に近い色のクレヨンさがしをするのもよいでしょう。
 お絵かきではなく、バラの色を画用紙に表現する一種の遊び、あるいは一種の試みをしてみようという気持を誘うのです。絵の具を使って色を混ぜて遊ぶという楽しい経験がよいのです。バラの絵を描くのでなく、バラの色を出してみようという気持を表現する経験をさせるのです。
 また、形のうまいへたを問題にしないために、どろ絵の具を使って、大きいアート紙に両指でくしやくしやに何でもかきなぐってみる経験もよいでしょう。これは指絵とよばれていますが、絵の技能にとらわれずに、自由に自分の気持をぶつけてみる方法です。フィンガーカラーという色粉と獄で作ってもよく、またチューブ入りも売っています。白いアート紙を水でぬらして、自由自在に色をぬりたくるのです。
 このように、バラの写生を上手にといったやり方でなく、何でも感じたことを自由に表現してみる楽しさを味わう経験をもたせてください。材料だけ与えて自由にやらせるとよいのです。
 子どもが、学校でかいた絵を家に持って帰ってきたときの親の言葉のかけ方、表情、目のつけどころなどに気をつけましょう。
まず第一に大切なことは、子どもが何を描こうとしたかについて聞くとよいのです。子どもが表現しようとした意図を汲んで、その観点で子どもの絵をみますと、やはり絵の中に子どもの意図が表現されているのに気づきます。
 この時、技術の上手下手は禁物です。絵の出来ばえは触れずに、絵の内容について話し合うのがよいのです。例えば、みかんを描きたくてかいたのなら、もっぱら話題はみかんにしぼるのがよいのです。大きさ、形、色の調子、ぬり方、遠近、陰影など、技術的なことは無視します。
 また、学校で展示されている絵を見にいったときも、誰が一番上手とか、下手とかいったことには目を向けず、子どもが何を表現しようとしたかに注目してみるのです。そうすると、子どもの絵には子どもの個性、性格、体験などが表現されているものです。
 子どもの自由画の大部分は、最近経験した印象に残ったことに関するものです。遠足に行った後はその体験を、運動会の後は運動会の場面などについてかくものです。それは子どもの体験が心に強い印象となり、感動となって残っており、その表現が絵となったのですから、絵の出来ばえはどうでもよいことです。
 このように、子どもの絵についての親の理解が深まれば、子どもの絵にケチをつけたり批判したりしなくなります。そして、かくことだけを催促することもなくなるでしょう。
 そうなれば、子どもにとってお絵かきは楽しいものとなるのです。喜んで絵をかくようにする方法は、こういう親の絵についての考え方や見方の変化が中心です。

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