ピアノのレッスンを嫌がる子

 六歳の娘は、去年からピアノ教室に通わせているのですが、ピアノのレッスンに行くのを嫌がります。私としては、ピアノ教室は続けさせたいと思うのですが、娘はしきりに「曲が難しくて、つらい」といいます。このままピアノのレッスンを続けさせるのは、好ましくないでしようか。
 親のほうでは続けさせたいし、子どもは嫌がるしで、どうしたらよいかの問題は一方的にきめられない点が難しいところです。
 そこで、妥協案のような考え方をはじめに申し上げてみましょう。それは、このまま嫌がるのを無理に続けさせるのでもなく、またぶつりと止めさせるのでもない方法です。それは、一時休んでみて、やる気のおこるのを待つという、ポーズを入れるやり方です。
 一息いれるとか、ひと休みして気分転換をするとか、気を取り直してもう一度アタックしてみるチャンスを残しておくのがよいとおもいます。完全にやめてしまうというのは、親としても残念ですし、実は子どもも、絶対やめたいと決意を固めているわけでもないと思われるからです。
 なぜなら、子どもも音楽が嫌いというのではなく、やりたい気持も心の奥に持っていて、ただ目の前の急坂に息を切らしているというだけの場合が多いからです。
 事実、このようなポーズ法によって、また気持を立て直してやり出したという例も多いのです。そして、ピッタリやめてしまって、二、三年後になって後悔している子どもの例もかなり耳にします。
 子どもにしても、一時のポーズによってつらさを逃れることができて、自分の要求もかなり遂げられるのですし、また続けさせたいという親の望みも断ち切られたわけでもないので、両者にとって好都合のようです。
 しかも、再びやりたくなった時再開できますし、親も心の余裕をとりもどすゆとりが体験できます。ピアノの先生にそのような了解をとって賛成していただいたことを、子どもにも伝えてください。

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 子どもにレッスンを続けさせたいと願う親自身の気持について、よく反省したり考察してみるとよいと思います。
 例えば、何の目的でピアノを習わせはじめたのか、これからも習わせたいのか、その点をハッキリさせておきましょう。この目的は一般に次の二つに大別することができます。
 一つは、子どもの情操教育のためで、子どもが大きくなったとき、ピアノが弾ければ楽しいだろうし、教養の一つにさせたいという願いからです。もう一つは、ピアノのプロに仕立てる目的をもつ場合です。これで仕事につかせるとか、一流のピアニストにさせたいといった願いをもつためです。
 第一の音楽情操をねらいとする場合には、無理をしてレッスンを強制すると、ピアノが嫌いになり、しまいには音楽が嫌いになって、情操教育にならなくなる危険性があります。ですからポーズをおくか、あるいはやめさせて、ほかの方法で情操教育をめざすことを考えてもよいわけです。ピアノはたまたま試してみたまでで、これにこだわらないという心の切りかえが自由にできます。
 第二の場合は、厳しい要求が子どもに課せられているのですから、のどかなことはいっていられないという気持が、親のほうにもあり、先生のほうにも強いでしょう。この場合は才能教育ですから、本人の技能がすばらしいことが一つの条件になりましょう。この場合は家庭教育の範囲を超える問題になるでしょうから、先生との相談がもっと必要になります。
 第一の場合には、子どもの人間性の育成に重点がおかれ、音楽情操がねらいです。第二の場合は、音楽情操よりも音楽技術にウエイトがおかれることになり、両者の重点のおきどころが異なります。
 子どもの音楽情操を主なねらいにしてピアノを習わせる人が数からみればずっと多いでしょう。音楽技術を中心とするプロの養成ということになると、特別の場合と考えてよいでしょう。ただ六歳の段階で必ずしも明瞭に分けられないでしょうが、親の気持はある程度整理がつきましょう。
 そこで、音楽情操を育てることをねらいとする場合の親のあり方、子どもへの接し方について考えることにしましょう。
 それは、技術のことは気にしないという決意をすることです。ピアノの技術について親が口を出したり、そのことについて催促したりすることはやらないほうがよいのです。それは先生にまかせましょう。
 しかし、音楽情操、つまり音楽を楽しむ感情の育成は親にもできることですから、この面では積極的に参加したいものです。そこで、子どものレッスンを聞いて楽しむ姿勢を示すことです。かりに、ピアノの上手なお母さんでも、決して技術のことは批評したり、ケチをつけたり、訂正したりせず、もっぱら子どもと音楽を楽しむ雰囲気づくりを心がけるのです。
 ピアノを嫌がる子どもの中で、よく調べてみますと、親がレッスンの催促をするとか、レッスンの成果を期待しすぎるとか、よその子や他の兄弟とくらべるとかいったことが原因になっている場合が多いのです。これらの親の態度は、要するに、ピアノの技術志向から生じているのです。
 親は先生の助手でもなく、下請けでもなく、催促係や監督係でもないのです。親は子どもと音楽を楽しむのが役割と考え、その役目に徹すると、案外子どもが自分で責任をもったり、心のゆとりをもつことができるのです。ポーズ法も実はこのような親の態度、役割、心構えから生まれるのです。

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