音痴な子

 次男は、小学校二年生です。音痴で、歌が下手なため、学校で音楽の授業がある日には元気がありません。ときどき「友だちに笑われた」といって悩んでいる息子をみると、かわいそうでならないのですが、音痴をなおすのに、何かよい方法はないものでしようか。
 うちの子は音痴ときめこんでいらっしやるようですが、その点がまず問題です。よく音痴という言葉が気軽く使われるのですが、本格的な音痴というものはそれほど多くはないと専門家が言っています。
 つまり、音痴ではないのに音痴と親や周囲の人が思いちがいし、そうきめてしまうために、本人にもそう思いこませてしまい、そのため本人が歌うことに劣等感を抱いたり、また歌うと き緊張したりするため、うまく歌えなくなることが多いのです。
 ですから、歌が下手ということが、音痴のためときめてかかることに危険性があるのです。歌がうまく歌えないのは、多くは劣等感や緊張感、その他音楽に対する馴れと学習経験の不足などのためで、音痴が原因と考えることには疑問があります。

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 本格的な音痴は聴覚器官の障害によるもので、音は聞こえていてもその高低がわからないためにメロディーを認知できないもの、あるいは、メロディーは認知できてもそれを正しく発声できないものをいうのです。
 こういう聴覚器官に故障のある子どもというのは特殊なケースで、むしろ数からいうと非常に少ないので、お宅の場合は多分、感覚器官の故障ではなく、幼児期からの、音楽に関する学習経験の不足が原因と考えてよいでしょう。
 そこで、学校か音楽教室の先生に相談してその点をたしかめてもらうのが、お母さんの安心のために必要なことでしょう。
 先生が絶対音感とか相対音感のテストをしてくださるでしょうし、また音楽才能や音楽素質 の診断検査のようなものもありますから、検査してもらうのも一つの方法です。
 とにかく、本格的な音痴はめったにないことですから、素人診断できめこむことはやめにしたいものです。
 音楽に対する好みやセンス、音楽に対する正しい学習や経験を子どもに与えることが大切ですから、まず家庭の音楽環境づくりからはじめましょう。
 その時大切なことは、この子を見る親の目つきや態度です。
 「この子は音痴なんだから、それをなおしてやろう」といった感じで子どもに追っていくような態度は禁物です。ですから、何度も歌わせて訂正するといったやり方をしないことです。笑ったり、からかったりすることなど、もってのほかです。
 子どもに意識させることは、どんな問題の場合もマイナスの影響を与えるのです。したがって音痴治療といった雰囲気を作らないよう、親の心がまえや態度に気をつけましょう。
 大切なことは、音楽的な遊びを考えたり、よい音楽を楽しむ雰囲気づくりをすることです。幼児期に充分味わうことの少なかった童謡や民謡、その他名曲の鑑賞といった雰囲気を家中にみなぎらせることです。家族がよい音楽を聞いて楽しむこと、つまり聞く経験を知らず知らずの間に積み重ねることが音楽的感覚を自然に養う最良の方法です。
 それから、リズム遊びを経験させるとよいのです。例えば、「せっせっせ」や「おてだま」「なわとび」などのような、リズムを伴う遊びを楽しむ間に、自然にリズム感覚が養われます。リズムは歩くときや運動するとき、話すときなどにも体験できることですから、歌だけでなく、からだ全休で身につくように考えましょう。ですから、スキップとか手をたたくリズム遊びなども効果的です。
 また、メロディーの基本になるのは言葉ですから、歌になる前の段階で「また、遊びましょ」といったような、メロディーをもつ言葉の遊びや生活も役に立ちます。これらの点について配慮してみましょう。
 音楽はこのように、遊びや生活の中にしみこんでいるものですから、歌を歌うということだけではないのです。ですから、歌の調子が外れていても、自分で楽しめればよいので人に聞いてもらうことばかり気にしないことです。
 音楽が好きになる、音楽を楽しむことは、聞いて楽しむことがかなり多いのですから、それをたっぷり味わうことができればそれでもよいわけです。歌手になるのではないという親の度胸も必要です。歌うことだけに音楽を限定しない広い音楽観をもちましょう。
 また、ハーモニカや笛を与えたり、タイコをたたいたり、ピアノをひくというように、楽器による音楽の楽しみ方もあるわけです。これは上手下手という技術が問題になりやすいので気をつけなければなりません。音楽教育では技能本位の考え方は特にさける心構えが、親としては大切です。
 とにかく、楽しむことに重点をおいてみましょう。そこで音楽教室などを利用する方法もあるわけですが、この点で家庭や親の側の配慮が大切となります。特に音痴に似た問題をもつ子どもの場合は、絶対音感の訓練がおこなわれるでしょう。これは幼児期の間に、しかも早い時期がよいとされ、それ以後では効果が薄いといわれています。
 そこで、お宅のような小学生では時すでにおそいといわれるかもしれません。しかし、先生からそういわれても、親としては一つの心構えをもっていることが大切です。
 それは、この子を音楽家にするつもりはないということです。そうだとすれば、ここでぜがひでも音感教育を完成させなければとあせることもなくなります。音楽を楽しむ方法はいろ いろあることを再び思いおこしてください。

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