指しゃぶり、爪かみをする子

 小学校三年生の長男ですが、三歳下の弟が生まれてからそのまねをして、指しやぶりをするようになり、最近では爪をかむくせもでてきました。その都度、叱りつけるのですがききめがありません。このようなくせは欲求不満のためでしようか。
 指しやぶりや爪かみと同じようなくせに、鼻ほじり、髪の毛いじりなどがあり、これらは身体をいじるくせ、または、神経性のくせといわれています。現れ方は違いますが、チック症もその一つといわれています。
 なぜかというと、指しゃぶりは、乳児の場合には八三%の出現率という報告もあるくらいで、大部分の乳児が指をしゃぶっています。その原因についてもいろいろな説があります。その一つは、遺伝説で、双生児を観察した結果、指しゃぶりの一致度がきわめて高いところから、遺伝的な要因も否定できないというのです。
 第二は、母子の愛情的なふれあいと関係があるという説で、これは乳児院や養護施設などに預けられている乳幼児に指しゃぶりが多いことから、愛情的な満足やスキンシップ、肌と肌とのふれ合いの不足によるのではないかというのです。
 また、赤ちゃんが指をしゃぶることは、母乳であろうと人工栄養であろうと、しゃぶる欲求が不満足な場合に、代償的に満足しようとして起こるのだという説もあります。
 最近の若いお母さんのなかに、哺乳びんの中のミルクがなくなると、用はすんだとばかり、ポンとびんを取り上げてしまう人がいますが、赤ちゃんは吸うことで満足を昧わっていることを知らないのです。

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 小中学生八、八六〇人について調査した結果では、指しゃぶりは、学年が上になるにつれて減少し、反対に爪かみは、増加するという結果が出ています。大人になって指をしゃぶっている人はほとんど見かけません。でも、爪をかむ人は時折見かけます。
 そのほか、両者の違いをあげますと、指しゃぶりは、子どもが眠る直前とか、何もすることがなくて、ぼんやりしている時、ひとりぼっちの時など、動きのない時によく見られますが、爪かみは、思うようにいかないでイライラしたり、緊張を強いられるような時によく生じます。
 さて、お宅のお子さんの場合は、何か当てはまるものがありますか。ご自分でよく考えて答えを見つけていくのが一番よいのですが、もう少しいっしょに考えてみましょう。
 本問では、三歳下の弟が生まれてから、そのまねをして指しゅぶりがはじまったということです。何かきっかけがあって、今までなかった問題が生ずる場合の方が、原因がはっきりします。
 弟さんが生まれた時は、お兄さんは三歳くらいですね。幼児期に下に弟妹が生まれると、子どもによっては、赤ちゃんがえりという現象が起こることがあります。
 お兄さんやお姉さんになったのに、急にききわけがなくなって、ダダをこねたり、泣いたりしてお母さんの世話をやかせます。年令が二歳二歳逆もどりして、赤ちゃん時代にもどったような行動をするので、赤ちゃんがえりとか、退行現象とかいわれています。時には、小さい弟妹の顔をつついたり、ぶったりして意地悪をすることもあり、母親に注意されると、よけいしつこくやってさらにしかられることになりがちです。
 どうしてこのような行動をとるのかは、その子の立場になってみれば、すぐわかります。今までお母さんの関心と愛情を独占してきたのに、それが急に弟妹の方に移ってしまったように感じて、寂しいのです。不満なのです。「お母さん、もっとこっちを向いてよ。こちらの相手をしてよ」という気持があっても、お母さんは「今、おむつの交換でいそがしいの。あとでね」とふりむいてもくれません。そのうえ、「そんなききわけのないことをいって、あなたはお兄(姉)さんになったのでしょ」と叱られてしまいます。
 本問のお兄さんも、弟さんが生まれた時に、これに似た寂しさやもの足りなさを感じていたのかもしれません。その心の空白をうめるのに、赤ちゃん時代の欲求満足の方法を無意識に思い出したのかもしれません。あるいは、弟と同じようになりたくて、まねをしたのかもしれませんし、弟と同じようにすることによって、弟のようになりたかったのかもしれません。
 それ以来、指しゃぶりが続き、爪かみもでてきたとすると、お兄さんの心理的な不満、自分が正しく評価され、認められていないのでいつも満たされない気持は解消されていないのかもしれません。
 あなたは、お兄ちゃんだからとか、お兄ちゃんなのにと、兄としての自覚や責任を強調しすぎてはいませんか。弟さんと比較したり、兄の方にいつもがまんを強いたりしていませんか。弟さんの性格や行動が兄さんと違って、積極的だったり、外向的だったりして、兄さんが押され気味の傾向はありませんか。
 お兄さんの指しやぶりや爪かみは、自分の能力が充分に発揮できず、周囲からも認められず、心がいつもクサクサしている不完全燃焼の現れだとしたら、くせをみつけてはそのつど叱りつけるのは、追い打ちをかけるようなものですね。
 なんでもいいですから、お兄さんの良い点を見つけ、賞揚してやってください。お兄さんはお兄さんの物さしではかつて、前より進歩した点を認めてやること、お兄さんの得意なことは激励してどんどんやらせること、こうして、お兄さんに自信と活気をとりもどすことが必要です。充実した生活を送れるようになると、いつの間にか問題がなくなってしまうことがよくあります。

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