左利きの子

 うちの子は今二歳です。最近、食事のときスプーンや箸を持たせ、自分で食べる練習をさせていますが、何度右手に持たせてもすぐに左手に持ち替えて食べます。そこで、言葉で納得させようとするのですが、まだ小さいためかなかなかうまくいきません。また、無理に直すと、どもりになったりするという話も聞きました。うちの子の左利きは無理をしてでも今のうちに直した方がよいでしようか。
 お子さんが左利きらしいとわかった時には、まず大部分の親ができれば直したいと考えるのが現状でしょう。どうしてかといいますと、一般には右利きが圧倒的に多いので、社会生活もいろいろな小道具類も右利きに都合のよいようにできているからです。つまり、左利きだと不便なことがあるからです。そのうえ、歴史的には、左利きを特別視したり、嫌ったりする社会通念があったりしたからです。

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 日本でも太平洋戦争以前は、左利きを特別視して、できるだけ直そうという風潮が強かったことは事実です。でも、戦後、アメリカとの交流が盛んになるにつれて、外国人には左利きの人が意外に多いこと、また、左利きの人のために左利き用の野球のグローブやゴルフのクラブなどが造られていることなどがわかってきました。外国では、日本ほど左利きを気にして直そうとする傾向が少ないので、左利きの人も多く見られるのです。イギリス、フランス、アメリ力などの左利きの出現率は四〜六%といわれていますが、日本では、二%台というデータが出ています。
 つまり、左利きを忌み嫌って直す必要があると考える社会の通念は、国によっても、時代によっても差があり、変化するもので、絶対的なものではないのです。特に、野球選手などの場合は、左ピッチャー、左バッターの方が珍重されて、右利きなのに左打ちを練習したりすることがあります。両利きだったらスイッチヒッターになれて、もっと有利なこともあります。
 人間は身体のどちらかの側の機能が優れているのですが、大多数の人は脳の左半球の機能が優位で、その結果、右側の神経の支配が優れる(右利き)のです。左利きの人は、右半球の機能が優位だということにすぎないのです。でも、右利きの人の方が圧倒的に多いので、右利きが正常で、左利きが異常というような偏見が生まれたのかもしれません。
 右半球優位(左利き)の子どもを、左半球優位(右利き)に人為的に切りかえようとすると、左半球の言語のはたらきになんらかの影響を与えてどもりが起こるのではないかという説がありますが、実際には、どもりを引き起こす場合と、起こさない場合とあり、まだ確定的なことはわかっていません。あまり無理に矯正しようとすれば、心理的なあせりや緊張が増大しますから、好ましいことではありません。
 もし、直そうとするなら、お子さんの成長段階のなかで、きっかけをつかみやすい時期として、次の四つの時期が考えられます。
 乳幼児が物を持ち始める時期。お宅の場合もそうですが、この時期に左利きが発見されやすいし、直す第一の時期です。言葉で納得させようとしても無理です。そのつど、右手に持ちかえさせてみるしかありません。
 クレヨンや鉛筆で絵や文字をかこうとし始めた時期。どうせ初めはだれでもうまくかけないのですから、出来上がりを気にせず、あせらず、ゆっくりと右手でかかせてみる。
 入園や入学の時期。改まって園や学校の生活が始まる時。特に書字は最初から右手を使うようにしないと、他の子と比べて不便なことが多いことを教えて努力させる。
 調査では、左利きの矯正は、約半分のものが六歳までに始められ、七歳までに六六%のものが矯正された経験を持っているといわれています。
 小学校高学年で、周囲を意識したり、劣等感を感じ出すころ。三、四年をすぎると、周囲の目を気にしたり、他の子と違うところをからかわれたり、気にしたりする時期が出てきます。本人も気にしているのですから、親子で努力すれば直る場合もあります。両手使いに慣れたら、右利きの人よりずっと便利なことを教えて激励してあげたらどうでしょうか。
 この後は、青年期になって、何かのきっかけで本人自身が直そうと決意した時でないとなかなか困難です。
 本人や周囲が直そうとして努力する度合いにもよりますが、努力してもなかなか困難なお子さんもいます。つまり、左利きの度合いの強さも関係するわけです。
 字をかく時、絵をかく時、お箸を使う時の三つについて、左利きの出現頻度を調べた結果では、三つとも左利きの場合と、書字だけが右であとは左という場合が多いのです。逆な見方をすると、書字が右手に矯正されない場合は、他の二つも矯正されにくいということです。字を右手でかけるようになるかどうかが、矯正困難かどうかを見分けるポイントのようです。
 でも、これもあまり几帳面に考える必要はありません。
 周囲の見方としては、左利きは直せれば直ったでよいけれど、直らなくても、本人の力を発揮させるにはいっこうに差し支えないと気楽に考えること。直らない場合は、悲観せずに、左利きをむしろ積極的に生かして生きていこうという強い気持を持つよう指導することが必要だと思います。

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