子どものノイローゼ

 小学校五年生の長女は、小さい時から、とてもすなおで几帳面な子ですが、最近、登校前に何回も時間割と教科書を照合したり、口でブツブツと時間割を繰り返しながら、忘れ物がないかたしかめています。前の晩にきちんと調べてあるのに、朝になってまた何回もやるので、ノイローゼじやないかと、心配しています。子どもにもノイローゼはあるのでしようか。また、どうしたらなおるでしようか。
 子どもは成長発達の途上にあって、心身ともに未分化です。また親に依存している面が多く、親の影響を受けやすく、自分で自分の行動を統制する力も乏しく、独立した生活をいとなむことができません。そこで、成人の神経症(ノイローゼ)の考え方を、そのままあてはめて考えるのは危険です。大妻女子大の平井教授は、「子どもに神経症はない」とまで強調しておられますが、これも、大人の神経症の概念をあてはめてみることの危険さをいましめていると考えられます。
 子どもの場合は、比較的単純な身体症状として現れたり、夜尿、チック、指しやぶりなどの神経性のくせとなって現れるとか、行動全休の異常というような全体的な現れとなって出てくることが多いので、成人の神経症のようには考えられにくいのです。

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 神経症というのは、心理的な原因から起こる心理的または身体的な症状で、そのために、人格発達や行動に支障が起こる状態といえます。主なものは、次のとおりです。

 不安神経症
 突然恐怖や不安から、顔面が紅潮したり、蒼白になったりし、脈拍が早くなり、冷汗をかいたりします。胸が苦しくなったり、腹痛、はき気を訴えたりしますが、何か不安かははっきりしません。何かの事件がきっかけになることはありますが、その前から準備状態があることが多いようです。

 強迫神経症
 自分でも不合理だとわかっていながら、あることが気になって、それを払いのけようとすればするほど意識され、思考や行動が妨げられて苦痛や不快を感じたりする状態をいいます。例えば、朝起きる行為を何回も繰り返したり、水道の蛇口を何回もひねり直すとか、間違っていないのに計算を繰り返し行って、先に進めないなどです。

 恐怖症
 対人恐怖、不潔恐怖、高所恐怖、閉所恐怖などいろいろあります。そのために行動が阻害され、苦痛を感じます。
 心気症
 身体の小さな変化や健康状態まで過度に気にして、頭痛や腹痛などを訴えますが、客観的には異常が認められません。それでも、病気だと主張して納得しません。
 ヒステリー
 恐怖や不快体験から、立てない、歩けない、声が出ない、けいれんなどの身体症状が現れるものです。
 このような症状は、言葉で説明しただけでは、誤解が生じやすく、部分的にあてはまったから○○神経症だとか△△恐怖症だというようにきめつけることは極めて危険です。子どものことがよくわかる精神科医に受診してよく調べてもらうよう注意が肝要です。
 本問の場合のように、細かいことを気にして、忘れ物や失敗をしないように気をつけるお子さんは、どちらかというと、良い子に多いようです。良心的、几帳面、まじめ、責任感が強い、親のいうことをよくきく、などの特徴が目立つでしょう。
 こういうお子さんは、二、三歳の第一反抗期にも、あまりいたずらや、親にさからうことをしません。わがままや自己主張をしませんので、大人からみると、育てやすい子、申し分のない子としてかわいがられ、期待されます。子どもは、親の言いつけをよく守り、親の期待や考えを先どりして自分の感情や要求を抑制します。子どもがいうことをよくきくので、親はますますよい子にしようと、いろいろ注意します。また、それを子どもはとり入れて、すなおになろうとするというように、循環します。
 こうして、几帳面でけっぺきな性格がつくられてくるのです。子どもの性格形成には、親の性格、心理が密接に影響します。きっと、お母さん自身、神経質で几帳面で完全癖なところがあるのではないでしょうか。
 時間割と教科書を照合して忘れ物がないように注意することはよいことです。でも、それにとらわれて、同じ行為が強迫的に繰り返され、行動に支障をきたすようになったり、他にも強迫行為や強迫観念が起こるようになると心配です。
 今の状態ならば、ノイローゼだなどと気にしないで、お子さんの生活全休、家族の生活全体をもっと、のびやかに、明るく、ゆったりしたものにするよう注意したらどうでしょうか。
 違った価値観を導入すること。忘れ物や失敗はしない方がよいには違いありませんが、失敗があってもいいではありませんか。失敗をしないようにたえず気をつかい、イライラするより、何かに夢中になって没頭する体験を持つ方が大切かもしれません。そのために、何かを忘れたり、時間に遅れても、集中できたプラスの方が大きいかもしれません。今までと逆の考え方をしてみると、自分はなんと一つの狭い考え方にこだわっていたかと、目からウロコがとれるような感じがする時があります。
 子どもをなおす前に母親自身の転換を。お子さんの性格をなおすには、まず周囲、特にお母さんの性格や行動からなおしていくつもりになることが必要です。そして徐々に家庭全体のムードもかえていきましょう。
 異質な体験をさせる。お子さんと性格のちがう友だちとつき合うこと、そういう子の家庭に泊って異質の生活経験をさせること、キャンプや合宿などに参加させて、いろいろな性格の友だちと交流をさせ、お子さんの性格のカラを破ることなどいかがでしょう。

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