反抗と反抗期

 中学校三年生になる娘と中学校一年生の息子がいます。息子は成績もまずまずで、明るい性格の子だったのですが、最近、学校でも評判の良くない友だちとグループをつくってつきあっているらしく、家でも反抗的な態度をとるようになりました。難しい年ごろでもあり、非行にはしるようなことになったらと心配しています。一体、どんな態度で息子と接してゆけばよいでしようか。
 ある講演会の席上で「うちの子は反抗期でしょうか」という質問がありました。お子さんの年令をきいてみると、十歳だというのです。お母さんからいわせると、「いつも素直にいうことをきかないから」とおっしゃるのですが、子どもはいつも親のいうとおりにおとなしくするものと考えていたら「子どもはいつも反抗期にある」ということになるでしょう。反抗は子どもの自己主張で独立の現れですから、発達とともに少しずつ形をかえて現れ、進歩していくものです。反抗期は、子どもの精神発達の過程のなかで、特に自我が成長する時期をまとめて表現したものです。

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 人間の心は、一直線に成長発達するものでなく、社会化と個性化とが織りまざりながらジグザグに発達していくもので、時期によって個性化の伸長が著しい時があるというのです。
 子どもは、生まれてから三歳ころまでは、外界を認識し、周囲の事物を覚え、自己の中にとりいれていくので、社会化の方向に向かい「身辺生活時代」と名づけられます。
 次の時期は、童話やお話を好み、自己の内面を豊かに育てる時期で「想像生活時代」といわれます。この時期にはまた、独立の芽生えが現れ、自己主張をしたり「イヤッ」と拒否をしたり、いたずらや冒険が目立ちます。このころ(二、三歳から四、五歳)を「第一反抗期」といいます。
 小学生の時期は、知識をどんどん吸収し、世の中のきまりや大人の生活を学び積極的にとり入れ、社会化する時期で「知識生活時代」と名づけられています。
 中学、高校を経て大学の半分位までは、精神的、内面的なものの充実に関心が向き、日記をつけたり、読書や思索にふけり、自我が著しく成長しますので「精神生活時代」といわれます。このうち中学、高校生のころを第二反抗期と呼びます。
 大学を終わるころから、また社会化の方向に向き、社会人として社会のルールや考え方をとり入れ、周囲に同化していくようになります。
 このように、心の発達のプロセスを子どもから大人まで通してみますと、反抗期とは、個性化の方向に向かって自己を深め、高める時期であり、すでに社会化した大人たちから見れば、自分たちと逆の方向に向かって進んでいる時期ということになります。扱いにくい時期であることがよくお分かりになるでしょう。
 それと反対に、身辺生活時代、知識生活時代、社会生活時代は、大人のいる方向に向かって、周囲をとり入れようとして発達しているのですから、大人の考え方や態度と対立せず、比較的に育てやすい時期ということになります。皆さんが、ご自分の成長過程、そしてお子さんの精神発達の足どりや、育てる上での苦労を考えなおしてみて、うなずける点が多いのではないでしょうか。
 最近、第一反抗期のころに、いたずらも自己主張もしないで、育てやすいよい子だったという子が、青年期になってから、登校拒否や家庭内暴力などの問題を起こすことが指摘されています。やはり、反抗期は、親に背いて、自己の内面を強化し、独立の積み重ねをする時期なのですから、そのころに反抗や自己主張がない子は、不充分な発達をしているということで心配なわけです。反抗期がきたということを、健全な発達をしている証拠と、喜んで受けとめる余裕を持ちたいものです。
 お子さんの行動や言いかたを頭から悪いときめつけてしかる前に、相手は何をどんな風に考え、どう行動したいのか、よくきいてみることが必要です。大人と同じような考えと行動をしたがるのでは、青年らしさがありません。
 また、お子さんと同じ世代、同じ年令の友だちや仲間が、どんなことに興味を持ち、何をしたがっているのか、世代の動きを理解する必要があります。評判の良くない友だちというのは、いつもどんなことをしている友だちなのでしょうか。非行グループなのか、親や先生に反抗している行動が目立つ程度のグループなのか、実態をよく調べてみてください。
 お子さんの考えや言い分をよくきいたうえで、親としては、こうしてほしい、こういうことはいけないとこちらの考えも伝えたあとで「よく考えて自分で責任がとれるように行動してごらんなさい」と、まかせてみます。多少心配であっても、小さなことから相手にまかせる態度をとっていくうちに、自分を信頼してくれる親に対する好感と責任感から、むやみな反抗や無責任な行動はしなくなっていくものです。反抗期には、親の持っている手綱を少しながくのばして、本人の自主性や独立心を試みさせる範囲を広くしてやりましょう。かといって、全部手をはなしては、糸の切れた凧のようにどこかに飛んで行ってしまいます。

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