怠学

 高校二年になった息子のことですが、最近、朝起こしてもなかなか起きず、遅刻して学校へ行ったとばかり思っていたら、担任の先生から連絡がありまして、何日か欠席しているというので、びっくりしました。本人に問いただしましたら、友人と学校をサボって喫茶店でダベつていたというのですが、夜も遅くまで友だちとどこかに行っていて夜中に帰るのです。どんなふうにこれからしつけていったらよいでしようか。不良化しないかと心配です。
 せっかく高校の入試に合格して喜んだのも束の間で、登校拒否を起こしたり、怠学を始めたりする生徒が少なくないので、親としてはいつまでも心配が絶えません。
 学校に毎日行ってはいるか、無気力、無関心で、陰性で生活を送っているような生徒がいますが、怠学となると、一歩退んで、遅刻、早退、欠課、無断欠席などがふえてきて、学校生活や勉強から逸脱する動きが見えてきます。そしてサボった時間は盛り場をふらついたり、生活が不規則になり、ひどくなると昼夜逆転して、欠席が続くということになります。その結果、非行グループに引き入れられて、盗みやたかり、暴走族に発展する子もいますし、いつまでもブラブラとした怠隋な生活をして、留年あるいは退学という結果になる生徒もいるわけです。

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 東京都立教育研究所の相談部では、高等学校での脱落傾向のある生徒に間する研究を、三年がかりで進め、その結果をまとめました。
 これは、都立高校二五校、約五、八〇〇人の生徒を対象にした調査ですが、その一部の「高校進学の動機」を調べた結果をご紹介しましょう。
 高校一年生全体の中では「自分がぜひ進学したいと思って」進学したのが、五〇%で一番多いのですが「ただなんとなく進学したくて」が一〇%、「みんなが進学するので」というのが八%もいます。それに対して、転学、退学などの問題が生じた生徒の動機を調べると、積極的動機のあるものが減って、「高卒の資格がないと困るから」という理由がふえると共に、自発的動機によらないものが三〇%にもなっています。
 つまり、入学の目的や動機があいまいで、親にいわれたり、皆が行くから行かないとカツコ悪いから、というような気持で入った場合は、高校の生活や学習について行けなくなることがはっきりしています。
 本問のお子さんの場合、入学の動機はどうだったでしょうか。
 怠学傾向になる生徒は、一つは高校の教科や学習内容についていけず、やる気を喪失する場合と、性格的に弱い面があって耐えられなくなる場合とあります。後者の場合は、幼少期からの養育態度との関連が大きいのですが、例えば、情緒的に未成熟で、いやになるとすぐ放ってしまう、他人依存型で、自分のことを自分で責任をもってやらない、気分が変わりやすい、わがままで甘えがある、などの点が目立つと、ちょつとしたいやなことが契機になって、学校をサボりたくなります。性格上の問題がなければ、家庭教師か塾で学力の補充をすればよいのですが、学力面だけのカバーではどうにもならず、本人の意欲と性格的な強さが最終的な問題になります。
 やる気を喪失したものに、毎朝起こしたり、注意をしたりして、学校へ行かせようとしても、同じことの繰り返しになり、争いをひどくするだけです。
 親も本人も、もう一度原点にかえって、本当に高校生活を続けなくてはならないのか、本人自身の真意をたしかめる必要があります。その際、世間や周囲の思惑は一応度外視して、ギリギリのところ、親はどう思うか、本人はどうなのかをそれぞれ自分に問いかけ、その結果を話し合うのです。
 子どもを大人にまで育てあげる過程で、親は、本当に親としてどうなのかを試される時期があります。子どもに大きな問題が起こった時がその時なのです。過去のことや、メンツや親としての欲にとらわれず、考えてください。高校は、親が頼んで行ってもらうところではない。どうしても本人が行く気がないなら、中退してもよいという結論が出るなら、親としては、毅然たる態度が保てます。なんとか行かせよう、行ってもらおうとするから、親が弱くなり、子どもの甘えを増大させるのです。
 本人のなかに、高校をやめたくない気持があるなら、自分の意志と責任で行くように約束をし直し、無理に行かせるための注意や援助をしないことを、お互いに確認してください。これは、親子両方にとって、とても大変で辛いことですよ。親が破るなら、子どももそれを理由に責任を回避し、言いがかりをつけるでしょう。子どもが約束を破っても、親は約束を守り続けるのです。そうすれば、結果は子どもが負わなくてはならなくなります。
 例えば、最近は三分の一までは休んでも、単位取得にはさしつかえないと知っていて、計算づくで休む生徒もいます。そのとおりにでき、スレスレで進級するなら、それも一つの上手な処世法です。もし欠席日数がオーバーして、留年になれば、その結果は本人が負って、それでも高校を続けるかどうか、もう一度考えざるをえなくなります。
 以上のことを実行していくには、夫婦の意見が一致していることが前提です。夫婦のくい違いがあれば、子どもはその間を縫って、たくみに泳ぎまわり、責任をとろうとしません。学校へ行かないで、親に世話になって遊んでいる方が、どんなに楽かわかりませんから、なんでも両親の意見のくい違いや矛盾のせいにして、自分の態度を改めないでしょう。
 子どもの怠学をきっかけに、両親は子どもの親として、何をどうなすべきかを考え直し、親としての役割と面目を保ち続けられるかどうかを試されている時期なのだとお考えください。

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