家庭教師をつけるか、つけないか

 私どもは、商売をしているため、どうしても子どもをほったらかしにしてしまい、勉強などみてあげられません。子どもも、それにかこつけて、勉強もせず、成績も下がりぎみです。近所では、家庭教師をつけている家庭もあるそうで、うちでも、家庭教師をつけて勉強させようかと思つていますが、いかがなものでしようか。
 このご相談の裏には、次のようなご両親の気持ちが働いているように思います。
 商売をしていて忙しいから、子どもに手が届かなくてもしかたがない。サラリーマン家庭のように、つきっきりで勉強をみてあげることができないのだから、よい成績がとれなくてあたりまえ。商売しているために、十分面倒がみてあげられなくてかわいそう。
 もし、ほんとうにご両親がこのような気持ちでお子さんに接していらっしやるとしたら、お子さんは、その気持ちを敏感に感じとって、お母さんが勉強をみてくれるサラリーマン家庭の友だちをうらやましがったり、自分が家庭学習をしないのは当然のこと、しかたがないことだと思ったりしているのかもしれません。ご両親の、そうした気持ちにすっかり甘えているのです。いや、ご両親、お子さんの双方に甘えがあるのではないでしょうか。
 このような甘えをそのままにして、いくらよい家庭教師をお願いしても、とてもその効果を期待することなどできません。
 まず、ご両親が自分の働く姿に自信をもってお子さんに臨むことです。家は商売をしている。母親もそれにたずさわっている。しかも、子どもと触れ合う時間も十分にとれないほど精一杯働いている。この事実を、胸をはってお子さんに示すべきでしょう。お子さんは、ご両親の不安な気持ちを感じとったと同じように、このご両親のたくましい姿から自分もしっかりしなければならないということを感じとってくれるにちがいありません。
 ご両親とお子さんが互いに相手の立場を理解し、自分の役割を考え、協力していくところに、お子さんのよりよい人間形成の場が開かれるのです。このことは、家庭教師で代行できることではないのです。くりかえしますが、まず、ご両親が自分の働く姿に自信をもってお子さんに臨んでください。その中で、短い時間でも密度の濃い触れ合いのあり方を工夫されることです。

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 本来、家庭での学習は、お子さんが自主的にすすめていくものです。とはいってみても、現実には、手を差し伸べてあげなくてはならないお子さんがいることも確かです。このような場合、両親の都合で家庭教師をお願いすることがあります。
 家庭教師は、お子さんと一対一で向き合って指導してくれるのだから、当然効果がすぐに現れるだろうと、だれでも考えます。しかし、参考書の単なる解説や、問題集をやらせて、答え合わせをしたり、質問に応じたりするだけでは、たいした効果は期待できるものではありません。お子さんの現在の学習状況をしっかり見すえて、そこを基準に指導のプランを組み、学習のつまずきを一つ一つ正してくれるような指導をしてくれる人でなければなりません。
 お子さんの性格をわきまえて、ヒントを与えたり、助言をくりかえしたりしながら、お子さんが自主的に学習に取り組むように仕向けてくれる人が望ましいのです。
 お子さんに一対一で向かう家庭教師は、いうまでもなくお子さんに与える影響が大きいのです。ですから、どのような人にお願いするかということは、特に慎重を要します。お子さんに合った人にお願いしなければなりません。そうすれば、単に計算力が高まったとか、読解力が高まったとかいうことのみでなく、勉強そのものが好きになる、自分の学習方法がわかってくるといった基本的なことも身についてきます。ところが、お子さんに合わなければ、ますます勉強嫌いになってしまうことすらあるのですから。
 どうしても、家庭教師をお願いするということであれば、人柄、指導法ともにお子さんに合った人と出会えるような配慮が必要です。その場合、担任の先生とご相談なさることも一つの方法です。担任の先生がお子さんの性格や学習の状況を最もよくとらえていらっしやるのですから。
 それにしても、家庭教師にすべてをまかせてしまうわけにはいきません。家庭教師と協力して、お子さんの自主性、積極性を引き出す努力は欠かすことはできません。
 家庭教師をお願いして、かえって失敗することは、何もかも、すべてお子さんのことを家庭教師にまかせてしまったつもりになることです。それは、お子さんの気持ちをますます両親から引き離すだけであって、お子さんの自主性を引き出すことにはならないのです。あくまでも、親子で解決しようという気持ちが必要なのです。そうでなければ、お子さんの依頼心は家庭教師に移るだけで、約束の時間だけ、いやいや机の前に座っているということになりかねません。
 ですから、お子さんが家庭教師との取り組みの中で、少しでも今までにない積極性、事前にわからないことを書き出しておく、復習だけでなく予習も始める、学習することの喜び、わかったことを両親に話す、先生にほめられたことを報告する。を確かに受けとめ、ともに喜ぶような場をもつことが大切です。
 要は、お子さんのヤル気なのですが、ヤル気がないから家庭教師にみてもらえばでは、決してお子さんのヤル気は育たないということなのです。親子で育てるという心構えがあっての家庭教師なのです。
 ご両親にとって商売は、大変な仕事であるにはちがいありません。それと同じように、お子さんを育てるということも、ご両親の大切な務めであることを、この機会に考えていただきたいと思います。

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