社会見学

 学校の社会見学で、市議会の議場を見てきた子どもが、非常に関心を持って百科事典などを開いては、議会のしくみや役割について調べるようになりました。小学校四年生といえばそろそろ社会に対して興味を抱くころと思い、家庭でも休みを利用し、社会見学をさせてやろうと思いますが、どんなところに連れて行ってやるのが適当でしょうか。また、社会見学の意義はどんな点にあるのでしようか。
 昔から百聞は一見にしかずといわれていますが、実際に市議会の議場に足を踏み入れて、自分の目で内部のようすを見たお子さんの感動は、ほかの何にも置きかえることのできないほど大きかったに違いありません。お子さんは、きっと、社会科の学習のねらいにそって「ああかな、こうかな」と、いろいろ想像をめぐらしながら問題をもって議場に入ったのでしょう。そこには、自分の想像や問題と事実との、実証的な、発見的な、そして、激しい出会いがあったのです。この激しい出会いが、見学後のお子さんの学習活動を積極的にさせていったと考えるべきでしょう。
 なるほど、お子さんはこれまでにも何度もテレビや新聞などで議会のようすを見ていたと思います。しかし、それが、百科事典を開いて。もっと深く知りたいというようなお子さんの学習意欲を起こさせなかったのは、それが、いわば、向こう側からの一方的な出会いであって、感動がともなっていなかったからではないでしょうか。

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 社会見学のもっとも大きな意義は、自分から対象を求めて問いかけていくところにあります。そして、いろいろな答えを引き出して自分自身の高まりを追求していくのです。社会との感動的な出会いとは、問いかけて答えを引き出せた喜び、つまり、自分自身の高まりの自覚をさしているのです。
 ですから、目的をもてば、「さあ、きょうは、○○へ見学に行きましょう」と、ことあらためなくても、身近な街を歩くことも、用事で出かけた往復に目にすることも、そのまま社会見学の対象になるはずです。しかし、身近なことは、思ったより見ずらいことも確かですから、はじめは、はっきりと目に見える対象をえらんで見学することがよいでしょう。
 まず、郷土資料館、いろいろな博物館などをたずねてみましょう。郷土資料館や博物館は、それぞれの時代を生きた人々の生活の知恵の豊庫です。わたしたちの祖先は、いつの時代でも、どこの地域でも、自然の力と対決したり、適応したりしながら、よりよい生活を求めて努力してきたのです。郷土資料館や博物館で目にする道具類の一つをとって見ても、そこにはただ使利さを求めるだけでなく、さりげない飾りの中に、美しさややさしさを求めた心を感じとることができるのです。
 五年生のA君が作った土器という詩をめぐって、三人の友だちがそれぞれ感想を寄せています。「土器、繩みたいなもようがある。この土器が、ぼくらに語りかけている。土器に耳を当ててみた。サアー、サアーという音がする。これは、きっと、ものすごい速さで、ぼくたちに話しかけているにちがいない。」そうだね。土の中にいたときのことも、みんなしやべってくれるんだから、早口にもなるよ。だけど、何を話してくれているのか、わからないのは残念ですね。話してもらえるのはいいと思うけど、早口だとわからないし、それに、昔のことばは、今とちがうかもね。土器が人間の言葉で話せればいいのにね。そうすれば昔の人がどんなことをしていたか、すぐにわかるのにね。だけど、これから、ぼくたちがそれを調べなきやいけないのだ。
 ここには、今をつくってきた歴史に興味や関心をもった子どもたちがいます。それは、相手がロをきくのを待つのではなく、それに語りかけ、ロをきかせようとする子どもたちです。
 同じように、新聞社や放送センターなどをたずねてみるのもよいでしょう。郷土資料館や博物館が今をつくってきた歴史ならば、ここでは、今を動かし、未来を予想させるしくみが手にとるように展開するにちがいありません。
 家族で旅行されるとき、ご両親の郷里に帰省されるときなども、社会見学の一つのチャンスです。
 夏休みに家族で海水浴に出かけた四年生のBさんは、朝四時に起きて、民宿のおばさんといっしょに漁港を見にいきました。港に入ってくる船、水あげされる魚、やがてせりが始まり、漁師のおばさんたちもリヤカーで魚を運んでいます。「どこまで漁に出ているんだろう」「この魚は、どこへ運んでいくんだろう」Bさんの頭の中にいろいろな問題が走ります。働いている人に質問しました。
 こうして、Bさんは、漁港をたずねたことによって、毎年の海水浴に、もう一つ大きな収穫が加わったのです。
 「いままで、毎年ここの海にきていたのに、どうして漁港のようすを見なかったのかしら。ふしぎだわ」というBさんに、民宿のおばさんがいいました。「Bちゃんに漁港を見る目ができたのよ。大きくなった証拠ね」
 このように、わたくしたちの社会の生きて働く姿、人々の営みを、実際に自分の目で見たり、肌で感じたりすることも社会見学の大切な目的です。
 いろいろな施設を見学する場合でも、旅行をする場合でも、できるだけお子さん自身が自分の問題意識でプランを立てて出かけるようにしたいものです。でも、まだ、四年生です。無理と思われるお子さんには、お父さんお母さんが相談相手になって、お子さんの興味、関心にそったプランを立て、実行し、お子さんのようすを見守ってみてください。

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