奉仕活動

 小学校六年生の男の子ですが、今度、子供会の会長に選ばれ、はりきっています。子どもにできる奉仕活動は、どの程度のことをさせたらよいのでしようか。その活動は親が責任をもってみてやらねばならないでしようか。また、活動のために子どもの勉強時間が減らされるというようなことはないでしようか。
 子供会の会長に選ばれ、はり切っているお子さんの顔が目にうかんできます。みんなに信頼され、会長に選ばれたという自信、誇り。そして、どのような活動をしていこうか、ぜひ、みんなを盛りたてていきたいという期待、抱負。これらの気持ちをぜひ大切に育てていきたいものです。
 さて、最近は自分さえよければといった風潮が子どもたちの世界にもみられるようになり、何でも損得で自分の態度を決めるような子どもも増えてきました。学校でも、班長や委員長といった役割も、名誉職というよりはみんなの意見を取りまとめたり、みんなの世話をしたりといった奉仕的な要素が強いため、引き受けたがらない、なりたがらない子どももあります。
 ここで問題になることは、このような子どもたちの態度の裏に働いている次のようなお母さん方の考えや態度です。
 「自分のことさえ満足にできないのだから、人の世話どころではないでしょ。役員なんか引き受けて時間や労力を費やすひまがあったら、その分だけ自分のことをやりなさい」
 この場合、自分のことの中身は、勉強をさしていることが多いのです。「そんなひまがあったら、机に向かいなさい」「予習、復習をしっかりやりなさい」一冊でも多く問題集をやりなさい」ということのようです。
 このお母さんの姿勢が、実は、知らず知らずのうちにお子さんの人間としての成長に最も大切なもの、協調の精神、思いやりの心、そして働くことの大切さを失わせているのです。このような大切なものを欠落してきた子どもたちが、やがて大人になって社会性を要求されるとき、それをさけて通ってきたことを、きっと後悔するにちがいありません。

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 せっかく、みんなから会長に選ばれたお子さんの生き生きとした前向きの気持ちを、具体的な行動、活動に結びつけていかなければなりません。お子さんは気持ちははずんでいても、何をどうしていいかという見通しをもっているわけではなく、多少不安な気持ちももっていると思われます。そこで、お母さんとしては、活動の内容や方法の面で、ぜひ適切なアドバイスをしてあげて欲しいと思います。
 例えば、地域の子供会で行う奉仕活動の内容や方法について考えてみましょう。
 地域の清掃活動として、みんなが遊び場として使う児童公園。地域の顔ともいえる駅前広場。後始末が悪く、気がかりなゴミ収集所。
 地域のお年寄りへの活動として地域にある老人ホームをたずねて、話し相手になる。手づくりの工作や手芸品、手紙などをとどける。一人暮らしのお年寄りの家をたずねてお世話をする。
 これらの活動は、子どもたちが主体的に行うことが望ましいというよりは、自らすすんで主体的に行わねばなりません。
 しかし、清掃活動を例にとれば、いつ、どこを、だれとだれがグループを作って清掃するのか、道具はどうするのかなど、段取りをつけてかからなければなりません。すべて子どもたち任せというわけにはいかないものもでてきます。このような時の相談相手にはお母さんの知恵や経験がぜひ必要なのです。
 お年寄りをなぐさめるといった活動には、一層難しさが加わります。老人ホームをたずねるにしても、こちらの都合だけで気ままに出かけることは許されません。老人ホームの責任者、係りの人と事前に十分に打ち合わせ、いつ、どのような内容のものなら迷惑でないか、お役に立つか、喜んでいただけるかということを確認してかからなければなりません。
 ですから、このような場合、子どもたちを主体的に活動させるには、その陰で、お母さんをはじめ、地域の大人の方々の力がどうしても必要になってくるのです。
 このように考えてきますと、「自分たちの力だけでできない活動なら、止めた方がいい」という考えが起こってきたり、「子どもたちに手を貸す時間的なゆとりがもてないから、協力できない」という声が起こってきたりしそうです。実際に、このような圧力がかかって、子どもたちの活動が実らないて終わる場合も多く見かけます。
 多少背のびをするかもしれませんが、大人のアドバイスや手助けで、今の子どもたちに一番欠けていると思われる、人のために働く、社会のために役に立つという意識や実践が育つのです。ぜひ活動が具体化し、継続していくように、お子さんに力を貸して欲しいと思います。
 お子さんの中には、一つのことに夢中になると、他のことがお留守になるという場合も確かにあります。ですから、活動をはじめる前に、活動の成果を上げることが、日常の学習活動の成果を落とすことにならないように自覚してかかることを意識させ、それが両立できる上うな内容、方法を考えさせることが大切です。そのようなことができる素質があるからこそ、お子さんは子供会の会長に選ばれたのだと思います。
 一つ一つの活動を成功させることによって、ますます学習にも自信がつき、今までより、短時間で効率的な学習をすすめていくようになるにちがいありません。
 お子さんとお母さんの子供会への健闘を祈ってやみません。

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